GSビロトール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 03:51 UTC 版)
1960年代、シトロエンは極めてコンパクトでありながら、(当時としては)スムーズかつパワフルなロータリーエンジンに強い興味を抱き、特許権を持つドイツの自動車メーカーNSUと、コ・モービル / コ・モトール等の合弁会社を作るなどして共同開発を行なった。アミ8をベースにシングル・ローターエンジンを搭載し、1970年にモニター販売された実走試験車のM35の成果を踏まえ、1973年には遂にGSにツイン・ローター方式のロータリーエンジンを搭載したGSビロトール(Birotor = バイローター、複式ローター)の市販が開始された。ロータリーエンジンこそが、GSの唯一の欠点とされていたアンダーパワーの解決はもとより、進歩的な車体構造、駆動方式、サスペンション、空力などに比較して保守的であったシトロエンのエンジン技術を一挙に時代の最先端に進めるための切り札であった。 その名の通り、排気量497.5cc×2の水冷ロータリーエンジンと、「Cマチック」と呼ばれる半自動変速機を組み合わせ、当時提携中であったフィアットが開発したジアコーザ方式で並べていた。シトロエンとしては初の横置きエンジン方式であり、GSでは唯一の水冷エンジン搭載車である。外観上はハイパワーに見合った太いタイヤを履き、翌年発売されるCXと同じホイールキャップが与えられ、前後フェンダーにリップが付いたこと、当時流行していたレザートップが与えられた点が識別点であり、内装ではボビン式スピードメーターではなく、英国仕様に似た一般的なアナログメーターであったことが特徴である。 販売期間は一年余りで、わずか847台しか生産されなかった。デビュー直後に第一次オイルショックに見舞われたこと、欠陥とも言うべきエンジンの耐久性不足が露呈し、1974年にシトロエンを傘下に収めたプジョーの意向もあって、販売された車はメーカーの手で回収され、スクラップにされた。このためユーザーの元に現存する台数は世界的にも極めて僅かである。
※この「GSビロトール」の解説は、「シトロエン・GS」の解説の一部です。
「GSビロトール」を含む「シトロエン・GS」の記事については、「シトロエン・GS」の概要を参照ください。
- GSビロトールのページへのリンク