FBIの類型論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 23:49 UTC 版)
「チャイルド・マレスター」の記事における「FBIの類型論」の解説
連邦捜査局には児童性虐待者の類型論がある。状況的児童性虐待者とはペドファイルでないチャイルド・マレスターであり、嗜好的児童性虐待者とはペドファイルであるチャイルド・マレスターをいう。 状況的児童性虐待者(性的行為の対象は児童のみに限定されない) 退行型 情緒的に未熟で社会的能力に欠け、子供を同等者とみなすタイプ。本当は同等の成人と関係を結びたいのだが、自尊心が低い状態で、それができないので主に脅迫を用いて子供と行い、自分の子供を標的にする場合もある。 倫理観欠如型 反社会的で手当たり次第に虐待を行うタイプ。周囲を利用し暴力を振るうことが人生そのものであり、犯罪の罪悪感がほとんどなく、相手の弱さと犯行のタイミングを基準にして被害者を選ぶが、SM系のポルノグラフィーを収集している場合もあり、妻や友人なども虐待の対象に入り、子供も対象になるのは、たまたま条件に合ったからに過ぎない。 性的倒錯型 性的嗜好が曖昧で、あらゆるタイプの性行動を試そうとするタイプ。セックスならば何でも試してみようとするタイプであり、子供を対象にするのは単なる実験であり、自分の子供も対象となり、大量のポルノグラフィーや猥褻文学などを保有している可能性も高いが、児童ポルノの占める比率は低い。精神分析学の用語では多形倒錯と呼ばれる嗜好である。 社会不適応型 社会不適応者で、様々な障害などのある場合。この特徴を持つ人の多くは無害であるが、積もり積もった衝動がそのような行為へと走らせる場合があり、子供が弱いことを利用し、性的好奇心を満たそうとする。被害者を殺害する場合もある。 嗜好的児童性虐待者(性的行為の対象は児童のみに限定される) 誘惑型 子供を誘惑し、うまく丸め込むタイプ。こういったタイプは子供への話し方や聞き方をよく理解しており、また大抵は秘密を漏らさないような子供を見分ける能力を持ち、被害者になる子供は心の面や実際の生活面で放置されている子供である。このタイプの場合、別れる時に子供を脅迫することもあり、発覚するのは大抵関係が終了しようとするときである。 内向型 社会的スキルの欠如のため子供を誘惑できず、見ず知らずの子供か幼児を選ぶタイプ。子供の集まる場所をうろつき、観察したりいたずらしたりする。児童買春を利用する場合もある。子連れの母親と結婚し、その子供を被害者にする場合もある。 加虐型 被害者に苦痛を与えなければ性的満足を得られないタイプ。誘惑や強要で子供と接触し、性的暴行目的の誘拐殺人の事件を起こす場合もあるが、数はそれほど多くない。 ストレスを抱えている時に犯罪を犯しやすい傾向があるため、このうち最も多くの児童性虐待者に見られる特徴は退行型と見られている。ただし、複数のタイプの特徴を持つ人も少なくない。ロバート・K・レスラー (1996) の経験によれば、嗜好的児童性虐待者よりも状況的児童性虐待者の方が多く、中でも近年は倫理観欠如型が増加しているといい、そのような場合は親が近親相姦を行っている場合もあるため、子供の倫理観もまた欠如している可能性があると指摘している。嗜好的児童性虐待者ははっきりと子供への性的嗜好を所有していなくてはならないため、定義上少ない傾向があるが被害者の数は多い可能性がある。また、内向型は従来の典型的なイメージに近いが、だからといって多いとは限らない。
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