CRT・ニッコール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/09 02:40 UTC 版)
「ニコン産業用・特殊用レンズの一覧」の記事における「CRT・ニッコール」の解説
CRT・ニッコール(CRT-NIKKOR )はオシロスコープカメラ用。初期はオシロ・ニッコールを称した。オシロスコープの暗い管面における高速で動く映像を低感度の感材で記録するため、大口径で設計されている。基準倍率付近では非常にシャープであり、かつ大口径由来の大きなボケが得られ、接写用として一般撮影に使用する者もいる。24x36mm(ライカ)判の一眼レフカメラに取り付けるとちょうど花のクローズアップ撮影ができるような範囲でのみピントが合う。 オシロ・ニッコール55mmF1.2/CRT・ニッコール55mmF1.2 - ライカLマウント。6群8枚。アタッチメントはφ52mmP=0.75ねじ込み。12枚羽根の普通絞り。絞り環は不等間隔で1.2・1.4・2・2.8・4・5.6・8・11の8段階、1段ごとのクリックストップあり。基準倍率は1/5倍、使用倍率は1/5.5-1/4倍で、この範囲を外れると急速に像が悪化する。色収差補正波長域400-650nm。大きく二世代あり、前期型のスミレ色に見える反射防止コーティングが後期型ではレモンイエローとなり、基準倍率「M=1/5」が刻印された。世代にかかわらず、レンズ本体にはオシロ・CRTどちらの名称も刻印されず「NIKKOR-O」とされ、製品の外箱にこの名称で表示された。 このレンズは、ロスアラモス国立研究所の銘板が付いた放出品のオシロスコープカメラに取りつけられていたことが確認されている。このカメラは同研究所をはじめとした米政府機関で長く使われたとみられ、レンズが廃品種で入手不可となった際、代替として米国内の産業用光学メーカーJML Optical Industries社やFJW Optical Systems社が同等品を生産した。 CRT・ニッコール58mmF1 - ニコンFマウント。アタッチメントはφ62mmP=0.75ねじ込み。基準倍率は1/4倍、使用倍率1/3.5-1/5倍を調整する距離環あり。距離環のロック機構はない。7枚羽根の自動絞り。無限遠は出ない。絞り環は「非Ai」の仕様であるが、開放F値1.0に対応する「カニ爪」連動式露出計を持つカメラは存在しないため、露出計連動爪はない。またNo.581117の個体には「NIKKOR Auto 1:1.0 f=58mm」と刻印され、CRTニッコールとの表示はないが、No.581122の個体では「CRT-NIKKOR Auto 1:1.0 f=58mm」と刻印されていることが知られている。
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