B級カルト映画として
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「拳銃は俺のパスポート」の記事における「B級カルト映画として」の解説
B級カルト映画の特徴として、本作をめぐる当事者や映画関係者の言葉は総じて熱い。 宍戸錠は矢作俊彦との対談で本作について「やっと出来たって気持ちは、おれの中にもあったな。これは代表作だ。間違いないって気持ちもだ」と語っている。 また西脇英夫は本作について「日本ではまず不可能とさえいわれていたハードボイルドタッチをみごとに日活アクションの中へとり入れてしまった」とした上で「殺し、組織の裏切り、逃亡、待機、相棒の惨死、復讐にいたる全編がハードなタッチにいろどられ、ラストに至って、目のさめるような射撃シーンを見せてくれる。おそらくは、宍戸錠の作品の中でも最高の部類に属するだろう」としている。 同じく佐藤利明も本作のクライマックスについては「追いつめられた上村が、反撃に出るクライマックスは、おそらくは宍戸錠主演作、いや日活アクション史上、最高のシーンの一つだろう」としている。 一方で本作の扱いをめぐってはB級カルト映画ならではのぞんざいさも認められる。原作をめぐる事実誤認もその1つだが、もう1つ塩崎殺害をめぐる誤説がある。 塩崎はあらすじのとおり、暴行を受けながらも、上村との交換条件で助けられている。しかし、一般に流布している書物や、インターネット上の本作への言及では、作中、追手に捕えられた塩崎が「殺された」とする記述が多々見られる。 映画公開当初のプレスシートでは「塩崎は殺された」と記述されていた。これを再検証することなく、日活自身のリマスター版DVD紹介サイトでも塩崎は殺されたとの記述がある(映画会社側からして間違って記述しており、それが50年近く経っても訂正されないという、B級映画らしいぞんざいな扱いを受けている)。 日活アクション映画についての精緻なメモをまとめた渡辺武信の1970年代の著作『日活アクションの華麗な世界』は、その後の日活アクション映画に関する多くの言及の種本となっているが、渡辺もこの著作で、本作のあらすじを自身の記憶または日活自身の誤ったプレスシート(ないしこれに基づく映画雑誌記事)に頼って書き「塩崎が殺された」と誤って記述していた。 本作は公開当時は大きなヒットにならなかったため、1970年代以降は、名画座などでの企画や、希にテレビでの深夜再放送が為されない限り、容易に見ることができない作品であった。そのため、これらの情報に依存した後続のフォロワー(西脇英夫もその1人)が鵜呑みにした結果、ネット上でもこの映画について「塩崎が殺された」と記述される事例が多発している。
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