2019年-2020年 次世代との奮闘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 02:12 UTC 版)
「井山裕太」の記事における「2019年-2020年 次世代との奮闘」の解説
これまで張栩、山下、高尾、羽根らの「平成四天王」とのタイトル戦が多かったが、この頃から一力遼、許家元、芝野虎丸ら通称「令和三羽烏」と呼ばれる次世代のトップ棋士達との対戦が増えてくると共に、これまで圧倒的な強さを誇った井山も苦しめられる事になる。 最多12回目となる山下敬悟九段との対決になった第43期棋聖戦は最終局までもつれ込み、山下の猛攻によって大石の活きが難しくなり窮地に立たされた井山であったが一時間以上に渡る大長考の末に大捨て石構想を敢行。検討室も熱を上げる超難解局となったが、これを制した井山が防衛し、棋聖戦7連覇を達成。第74期本因坊戦でも河野臨九段を4-2で下し8連覇を達成。 しかし第56期十段戦は二年連続挑戦となった村川大介八段に1-3で奪取され四冠に後退。続いて碁聖戦のタイトル挑戦を逃した事で、連続タイトル戦出場記録は29で途絶えることとなった。更に名人リーグでも芝野虎丸七段らに敗れ挑戦を逃す。芝野はそのまま名人戦挑戦者になり、張栩名人から名人奪取に成功。その結果、井山の持っていた最年少七大タイトル・最年少名人記録を塗り替えられる形となった。 その芝野虎丸名人との初タイトル戦となった第67期王座戦でも1-3で敗れ、またしても自身の持っていた最年少二冠の記録を塗り替えられた。井山は初三冠となった2012年以来7年ぶりに三冠に後退。第45期天元戦こそ許家元八段から3-2とフルセットの末に辛くも防衛し、名誉天元資格を獲得するも、苦しい一年となった。 このまま一気に世代交代になるかとも囁かれた2020年、第44期棋聖戦で河野臨九段を4-2で下し8連覇を達成、棋聖戦における連覇数・通算数共に小林光一と並ぶ歴代1位となる。 第75期本因坊挑戦者となったのは、昨年井山が大きく負け越し、破竹の勢いに乗る芝野虎丸二冠。芝野はこの番勝負中に十段も奪取し、三冠同士による頂上対決となった。この一戦を落とせば2011年以来の最多タイトル保持者の座を明け渡す事になり「井山時代」が終わるかとも思われたが、圧巻の内容で4-1と下して9連覇を達成し三冠を堅持する。 さらに井山は名人リーグ戦を全勝で駆け抜け、第45期名人戦挑戦者になると、芝野虎丸三冠との今年二度目の三冠対決を再び4-1と圧倒し名人奪取。4年ぶりの大三冠復帰及び、四冠に復帰し第一人者としての貫禄を見せた。しかし第46期天元戦では6度目のタイトル戦対決となった一力遼碁聖に2-3で初奪取され、この年は井山が三冠、芝野・一力が二冠と、三人でタイトルを分けあう結果になった。
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