シャブリエ:10の絵画風小品
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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シャブリエ:10の絵画風小品 | Dix Pièces pittoresques | 作曲年: 1880-81年 出版年: 1881年 初版出版地/出版社: Énoch & Costallat |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 風景 "Paysage" | 5分30秒 | No Image |
2 | 憂うつ "Melancolie" | 2分00秒 | No Image |
3 | つむじ風 "Tourbillon" | 1分30秒 | No Image |
4 | 森で "Sous bois" | 4分00秒 | No Image |
5 | ムーア風舞曲 "Mauresque" | 3分30秒 | No Image |
6 | 牧歌 "Idylle" | 3分30秒 | No Image |
7 | 村の踊り "Danse villageoise" | 4分00秒 | No Image |
8 | 即興曲 "Improvisation" | 5分00秒 | No Image |
9 | 華やかなメヌエット "Menuet pompeux" | 6分30秒 | No Image |
10 | スケルツォ・ワルツ "Scherzo-valse" | 4分30秒 | No Image |
作品解説
パリでの学生生活において、法律を専攻していたシャブリエは、1862年、内務省の官吏となり1880年まで務めていた。ほぼ独学で作曲をまなび、その書法は、複雑なものではないが、色彩感覚に満ち、温かく、軽妙洒脱な雰囲気をたたえている。
《絵画的小品》はそんなシャブリエの作品中、最も有名で、親しまれている曲のひとつである。1880年~81年、作曲者が39歳から40歳のころにかけてかかれた。10曲からなり、ひとつひとつの曲にシャブリエの個性がちりばめられている。初演をきいたセザール・フランクの言によれば、《絵画的小品》は、クープラン、ラモーを思わせるような、「18世紀風」な音楽である。
10曲中、〈牧歌〉〈村の踊り〉〈木陰にて〉〈スケルツォ・ワルツ〉の4曲は、《田園組曲》として、作曲者自身によって、オーケストレーションされた。
1.風景 :アレグロ・ノン・トロッポ
3部形式による。リズミカルで軽やかに曲が開始する。シャブリエらしい明るさとユーモアを感じさせる。
2.憂うつ :ベン・モデラート
拍子や旋律、和声の変化などによって繊細な情感のゆれが効果的に表現されている。
3.つむじ風 :アレグロ・コン・フォーコ
力強く奏されるユニゾンや、野性的にうちつけられる和音、渦巻くような右手によって、巻き起こる風がイメージされる。
4.木陰にて :アンダンティーノ
「神聖な静寂」。その色彩感は、印象派の絵画を思わせる。
5.ムーア風舞曲 :モデラート
3度の旋律が特徴的なリズムにのせて踊る。
楽想が幻想的に変化し、エキゾチックな趣をもつ。
6.牧歌 :アレグレット
シャブリエ作品の傑作中の傑作であり、人気も高い。飾らない素朴な旋律が、絶妙に変化していく軽快な左手にのせて生き生きとうたわれる。3分程度の小品であるが、シャブリエの魅力があふれんばかりに表現されている。
7.村の踊り :アレグロ・リソルート
素朴であるが、無骨なほどの荒々しさをもった舞曲調の曲。
8.即興曲 :アンダンティーノ
シャブリエの作品の中でも比較的叙情的な小品。コルトーによると、表現法が「シューマン的」である。拍子の変化や、和声の大胆な変化が魅力。ソナタ形式に近いかたちをもって書かれている。
9.華やかなメヌエット:アレグロ・フランコ
多様なアクセントのために、伝統的なメヌエットの形とはいえないが、シャブリエらしい溌剌さと、幻想的な美しさをたたえた曲。
10.スケルツォ・ワルツ :ヴィーヴォ
〈牧歌〉とならんで人気が高く、単独で演奏されることも多い。
機知に富み、洗練された魅力をもつ。
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