ブラジルポルトガル語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/14 12:55 UTC 版)
![]() |
![]() | この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2025年5月) |
ブラジルポルトガル語 | |
---|---|
Português do Brasil Português brasileiro | |
話される国 |
![]() |
話者数 | 2億人 (2013年) |
言語系統 | |
言語コード | |
ISO 639-1 |
pt-BR |
ISO 639-3 | — |
ブラジルポルトガル語(ブラジルポルトガルご、Português do Brasil, Português brasileiro)は、主にブラジルで話されているポルトガル語の一派である。ポルトガルで話されるイベリアポルトガル語とは若干異なり、英語におけるアメリカ英語とイギリス英語との差と比べて、文法や発音、語彙、敬語、綴りなどに大きな違いがある。日本では「ブラジル語」、俗に「ブラポル語」と略称されることもある。
他の地域との違い
母音
- 語末の e, o が [i], [u] となる。
- 一般に e, o が無声化・脱落しない。
- 二重母音:
- ei は「アイ」[ɐi̯] ではなく「エイ」[ei̯] である。
鼻母音
ã の発音は、後舌のア(暗いア)の鼻母音で発音される。
子音
- ti や di, あるいは語末の te や de はチやジという発音になる。
- 音節末の s や z は、シュ /ʃ/ の発音にはならない。
- 語頭や n, l の後の r および語中の rr は 無声軟口蓋摩擦音/x/ [x, h] などで発音される(もとは有声口蓋垂摩擦音[ʁ]やそれが無声化した[χ]でも発音された)。なお、近年ポルトガルでもこのように発音する傾向がある。 リオデジャネイロにはフランス系移民が多く、中にはフランス語のように r, rr を常に口蓋垂音で発音する癖を持った人もいる。
- 音節末の c, p は脱落する。脱落しないものは、常に発音される。またこの子音字の前の母音は、無強勢部でも a /a/, e /ɛ/, o /ɔ/ で読むとは限らない。
- 語頭で無声子音の前の ex- は、 "ech" または "eich" のように読まない。
- 軟口蓋音 ch /ʃ/, j /ʒ/, lh /ʎ/, nh /ɲ/ の前の e は、/ɐ/ と読まない。
- 音節末のLは、ウ /w/ と発音されることがある。
- e, i の前の /kw/, /gw/ はトレマを使用し qü, gü と書く。
- なおポルトガル語ではポルトガルとブラジルの正書法を近付ける改革が行われており、ブラジルでも移行期間を経て2013年以降はトレマは使用されなくなった。
アクセント
標準的ではないが、アクセントのある音節が s あるいは z で終わる語はイがついた発音になることがある。
文法
- 2人称代名詞としての親称 tu(単数)と vós(複数)は、3人称の活用になる você(s) のみにほぼ代替されている(地域によっては tu, vós も用いる)。リオ・デ・ジャネイロや北部、南部では二人称Tuが使われながら動詞の形は三人称という現象も起こっている。そのため、動詞の活用は各時制ごとに6つではなく4つ覚えればよい。なお、目上の人に対しては você のかわりに o senhor(男性), a senhora(女性)を用いるのが好まれる。また、ブラジル南部の移民はアルゼンチン訛りのためしばしば2人称単数代名詞として vos を用いる。
- 英語では be + 現在分詞で表現される現在進行形の表現が、estar + 現在分詞。
現況
ブラジルポルトガル語は、現在ブラジルの公用語であり、ポルトガル語の方言の中で一番多く話されている。これは、ブラジルの人口がポルトガル語圏で一番多いためである。
現在、ブラジルポルトガル語以外のポルトガル語は、ポルトガル本国のイベリアポルトガル語と、アフリカポルトガル語のみである。それぞれを話す人口は、あわせてもブラジルポルトガル語の9分の1である。
日本では、伝統的にブラジルとの関係が深いこともあり、ブラジルポルトガル語のみを学習する人も多い。実際、日本国内で販売されているポルトガル語学習教材はほとんどがブラジルポルトガル語を対象としている。[要出典]
関連項目
- ウルグアイポルトガル語
- スペイン語 - ブラジル以外のラテンアメリカで広く使われている。
ブラジルポルトガル語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 00:21 UTC 版)
「小節 (言語学)」の記事における「ブラジルポルトガル語」の解説
ブラジルポルトガル語には、自由小節 (英: free small clause) と依存小節 (英: dependent small clause) という2種類の小節があり、後者は英語における小節に類似し [NP XP] の形で用いられる:94, 95。また、主語と述語の倒置が可能であり、依存小節は通常語順と倒置語順の両方で生起する。 ( ) a. Considero os meninos inocentes. consider.1SG the.PL boys innocent.PL 'I consider the boys innocent.' ( ) b. Considero inocentes os meninos. consider.1SG innocent.PL the.PL boys lit. 'I consider innocent the boys.' 一方、自由小節は [述語 主語] の語順でのみ生起可能である。このタイプの小節の定義・分析方法は諸説あり、Kato (2007)では定形の屈折辞を伴う分裂文の一種であると分析されている一方、Sibaldo (2013)などでは屈折の形態具現のないTPであると分析されている。 ( ) a. *A sua casa bonita! the your house beautiful lit. 'Your house (is) how beautiful!' ( ) b. Bonita a sua casa! beautiful the your house 'How beautiful your house (is)!'
※この「ブラジルポルトガル語」の解説は、「小節 (言語学)」の解説の一部です。
「ブラジルポルトガル語」を含む「小節 (言語学)」の記事については、「小節 (言語学)」の概要を参照ください。
- ブラジルポルトガル語のページへのリンク