駐日事務所開設の経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 10:15 UTC 版)
「赤十字国際委員会」の記事における「駐日事務所開設の経緯」の解説
ICRCが初めて日本に事務所を設けたのは、1942年、場所は横浜であった。第二次世界大戦中の日本において、多くの捕虜を訪問し、赤十字通信を通じて家族の再会を実現させている。また、広島市の被爆者に手を差し伸べ、人々の支援と保護に尽力。1949年に代表部を閉じたが、その60年後に、再び日本に事務所を開設。 以前の日本は国際社会から支援を受ける側であったが、戦後60年以上が経ち現在では、支援を行う側に身を置いている。このため、ICRC駐日事務所の任務も180度異なり、国際社会における日本の地位に見合った貢献を政府に促し、協力することを目指している。 60年ぶりの駐日事務所開設に至った背景には、2004年にジュネーヴ条約の追加議定書を日本国政府が採択し、日本国内における国際人道法への関心が高まったことがある。さらにアジアは紛争や国内騒乱が多発している地域でもあり、人道活動の需要を見越してアジアに拠点を増やす必要性があることも、開設の背景にあった。国際舞台におけるアジアの影響力や存在感がますます強まることを見込み、今後ICRCは積極的に人道活動に携わる国が増えるとの見通しから、2005年7月に中華人民共和国に地域代表部を設立。マレーシアのクアラルンプール地域代表部やフィリピン代表部の機能も強化していた。 こうした流れの中、日本においてもICRCの認知度を高め、国際人道法の普及を促すことが重要となった。2008年2月に当時の総裁ヤコブ・ケレンベルガー(英語版)が来日した際には、日本が今後ICRCにとって戦略的パートナーになると宣言。また2013年5月には、現総裁ペーター・マウラーが、内閣総理大臣安倍晋三と会談。日本が国際社会で果たすべき役割や今後の貢献、協力関係の強化などについて話し合った。現在、ICRCの日本人の国際要員(デレゲート)の積極採用など、日本において人的貢献も呼びかけている。
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