風邪
★1.風と風邪。
『風博士』(坂口安吾) 風博士は論敵の蛸博士によって妻を奪われたため、蛸博士を非難する遺書を残して、突然姿を消した。あとには一陣の突風が舞っているだけだった。風博士は死んで風となったに違いない。その証拠に、この日、この同じ瞬間において、憎むべき蛸博士はインフルエンザに冒されたのである。
★2.風邪の神。
『風の神送り』(落語) 風邪がはやる時には、町内で張りぼての人形を作る。これを「風(=風邪)の神」として祀り、供え物をした後、囃したてて川へ流し捨てる。ところが、「風の神送ろ」と大勢が声を揃える中に、「お名残惜しい」という者がいる。「誰だ」と言って皆で引きずり出すと、町内の医者だった。
★3.風邪の用心。
『サザエさん』(長谷川町子)朝日文庫版・第27巻103ページ 朝。うたた寝する波平の鼻の穴に、サザエがこよりを入れてくすぐる。波平は「ハークション」と、大きなクシャミをして飛び起き、あわててうがいをし、蒲団をひいて寝てしまう。「会社まで休まなくていいんじゃない?」と言うサザエに、波平は「いや。風邪はひき始めが大事だ」と答える。
*風邪のウィルスと、コンピュータ・ウィルス→〔宇宙人〕1aの『インデペンデンス・デイ』(エメリッヒ)。
『殿方ご免遊ばせ』(ボワロン) 首相の1人娘ブリジットは秘書官ミシェルと結婚するが、彼は独身時代の愛人たちとの仲が続いていた。ブリジットは仕返しに、某国から来訪中のシャルル殿下とのデートを決行し、保養地で水泳をするなど楽しいひと時を過ごす。シャルル殿下の帰国の日。見送りの人々の中にいたブリジットと、飛行機に乗り込もうとするシャルル殿下は、ともに大きなくしゃみをする。水泳のせいで風邪をひいたのだ。これは2人だけの秘密だ。
*浮気の証拠のチフス→〔チフス〕2の『熱い空気』(松本清張)。
『愛と死』(武者小路実篤) 若い小説家の「僕(村岡)」は、先輩であり友人でもある小説家野々村の妹夏子と恋人どうしになり、婚約する。「僕」は巴里にいる叔父に招かれ、ヨーロッパ文化を自分の目で見るため、半年の予定で旅立つ。「僕」は、日本に残した夏子と毎日のように手紙をやり取りし、再会できる日を指折り数えて待つ。しかし日本へ帰る船の中で「僕」は、「夏子が流行性感冒(スペイン風邪)で急死した」との電報を受け取る〔*『愛と死』を映画化した作品『世界を賭ける恋』では、夏子は粟粒性結核で死ぬ〕。
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