顕微鏡・電気化学・伝導度解析装置 (MECA)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/08 07:22 UTC 版)
「フェニックス (探査機)」の記事における「顕微鏡・電気化学・伝導度解析装置 (MECA)」の解説
マーズ・サーベイヤー2001のために JPL によって製作されていた MECA (Microscopy, Electrochemistry, and Conductivity Analyzer) は、湿式化学の実験装置 (wet chemistry laboratory, WCL)、光学顕微鏡、原子間力顕微鏡、熱伝導度および電気伝導度の探針 (プローブ) からなる一群の装置である。 熱伝導度・電気伝導度や温度を測定する幾本かの探針 はロボット・アームの「指の関節」部分に備え付けられており、アームが掘った溝の端に差し込まれることになる。これらの測定によって、活発な極地の土壌と大気との相互作用について理解する手がかりになると期待される。 ロボット・アームがすくった土壌は4つの WCL の容器のうちの1つに入れられ、そこに水が加えられる。これを撹拌しながら電気化学的センサーが水中のマグネシウム、ナトリウム、塩素、臭素、硫酸イオンといった 12 種類のイオン量、pH、伝導度、酸化還元電位が調べられる。これは土壌が、存在しているかもしれない固有の微生物にとって、あるいは将来の地球からの訪問者にとって生命を支えうるような化学的なエネルギーをもっているかどうか、また生命の存在に適さないような pH や塩、酸化物を有していないかどうかの評価に役立つ。 また、土壌の粒子は分類された上で、光学顕微鏡、そして FAMARS と名づけられた原子間力顕微鏡 によって細かい形状が観察され、その起源と鉱物学的性質が調べられる。原子間力顕微鏡はヌーシャテル大学 (Université de Neuchâtel) が中心となったスイスのグループによって提供されたもので、使い捨ての8つの探針が試料をなぞることで 10 nm の解像度の画像を得る。もし土壌に含水鉱物や粘土鉱物があれば、かつての火星の北極に液体の水があった証拠となりうる。
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