非イスラーム世界におけるイメージの中のハレム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 04:36 UTC 版)
「ハレム」の記事における「非イスラーム世界におけるイメージの中のハレム」の解説
既に述べたようにハレムという語がトルコ語から西欧諸言語に取り入れられたことからわかるように、西欧人がハレムの存在を「発見」したのは、オスマン帝国においてであった。 オスマン帝国のハレムは、その規模と神秘性からヨーロッパからイスタンブールにやってきた多くの観察者たちの注意をひきつけた。ヨーロッパでは、特に宮廷のハレムに住まう女性たちは、「君主の居室」を意味するトルコ語ハス・オダルク(Has Odalık)から訛ってオダリスク(Odalisque)とも呼ばれてきた。ヨーロッパの人々は、オスマン帝国の社会にみられるハレム、オダリスクを東洋的で異質なものととらえ、またこれらにはヨーロッパ人の手になる旅行記や絵画を通じて官能的なイメージを与えられたが、こうしたハレムに対するイメージの生産と受容はエドワード・サイードの批判したいわゆるオリエンタリズムの一種ということができる。官能的なハレムのイメージはオスマン帝国の滅亡後も再生産と増幅が21世紀に至るまで繰り返されてきた。 さらに、イスラーム圏の文脈や後宮の概念を離れ、広く、男性が多くの性的パートナー(それがどんな法的地位であれ)を持つ状態を、いささか不道徳なニュアンスと共に意味することもある。生物学では、ゾウアザラシやアシカなどの一夫多妻制のコロニーを意味するようになった。 こうした風潮は、イスラーム文化が根付いておらず、西欧人により解釈された「オリエント」の一部としての「官能的なハーレム」のイメージのみが普及することになった日本社会においても例外ではなく、「サルタンの君臨するハーレム」のイメージは日本においても再生産されてきた。この結果、現在では「ハーレム」の語は西アジアにおける元々の用法とは全く異なる意味を帯びた外来語として日本語に定着しており、一般的には男女関係や性風俗において少数の男性が同時に多数の女性を相手にしながら性行為を行う状況を指す他、より軽いニュアンスで女性ばかりが数多くいる中に少数の男性が存在するような状況に対して「ハーレム」という言葉が使われる場合も存在する。アニメ・ゲームなどの分野ではいわゆる「ハーレムもの」を意味し、この概念は欧米に逆輸入もされている。
※この「非イスラーム世界におけるイメージの中のハレム」の解説は、「ハレム」の解説の一部です。
「非イスラーム世界におけるイメージの中のハレム」を含む「ハレム」の記事については、「ハレム」の概要を参照ください。
- 非イスラーム世界におけるイメージの中のハレムのページへのリンク