非アーベル的な例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/14 03:50 UTC 版)
「ガロア理論の基本定理」の記事における「非アーベル的な例」の解説
次の例はガロア群がアーベル群でない最も簡単な例である。 Q 上の多項式 x3−2 の分解体 K を考える。すなわち、K = Q (θ, ω) で、ここに θ は 2 の立方根であり、ω は 1 の立方根である(が 1 ではない)。例えば、K を複素数の中の体と考えると、θ を 2 の実立法根で、ω を ω = − 1 2 + i 3 2 {\displaystyle \omega ={\frac {-1}{2}}+i{\frac {\sqrt {3}}{2}}} f ( θ ) = ω θ , f ( ω ) = ω , {\displaystyle f(\theta )=\omega \theta ,\quad f(\omega )=\omega ,} g ( θ ) = θ , g ( ω ) = ω 2 , {\displaystyle g(\theta )=\theta ,\quad g(\omega )=\omega ^{2},} G = { 1 , f , f 2 , g , g f , g f 2 } . {\displaystyle G=\left\{1,f,f^{2},g,gf,gf^{2}\right\}.} G の部分群と対応する部分体は次のようになる。 普通に行うように、G 全体は基礎体 Q に対応し、自明な群 {1} は K 全体に対応する。 位数 3 の群、{1, f, f 2} が唯一、存在する。対応する部分体は Q(ω) であり、これは Q 上、次数 2 であり(ω 最小多項式は x2 + x + 1 )、G の指数 2 の G の部分群であるという事実に対応している。また、この部分群は正規部分群で、Q 上で正規な体であるという事実に対応している。 位数 2 の部分群が 3個存在し、{1, g}、{1, gf}、{1, gf2} で、これらがそれぞれ 3つの部分体 Q(θ), Q(ωθ), Q(ω2θ) に対応している。3つの部分体は Q 上、次数 3 の部分体であり、指数 3 をもつ G の部分群に対応している。注意すべきは、部分群が G で正規部分群ではなく、この事実は部分体は Q 上、ガロア的になっていないという事実に対応している。例えば、Q(θ) は多項式 x3−2 の根を一つしか持っていないので、Q 上、正規ではありえない。
※この「非アーベル的な例」の解説は、「ガロア理論の基本定理」の解説の一部です。
「非アーベル的な例」を含む「ガロア理論の基本定理」の記事については、「ガロア理論の基本定理」の概要を参照ください。
- 非アーベル的な例のページへのリンク