ガロア群とは? わかりやすく解説

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ガロア群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/23 06:03 UTC 版)

ガロア群:Galois Group)とは、代数方程式または体の拡大から定義される群のことである。発見者であるフランス数学者エヴァリスト・ガロアから命名された。これらの群を用いて方程式などの数学的対称について研究する分野をガロア理論と呼ぶ。

定義

体の拡大のガロア群

E F の拡大体とし、その体の拡大を E/F と表わすこととする。また E/F自己同型を、 F の各元を固定する E の自己同型と定義する。このとき、 E/F の自己同型全体は群を成す。これを Aut(E/F) と表わす。 E/Fガロア拡大であるなら、 Aut(E/F) を拡大 E/F のガロア群と呼び、 Gal(E/F) で表わす。 E/F がガロア拡大でない場合は、 E のガロア閉包 G に対する自己同型群 Aut(G/F) を、E/F のガロア群と定義することもある。

多項式のガロア群

E が多項式 fF 上の分解体( f の根をすべて含む最小の F の拡大体)であるとき、 Gal(E/F)fF 上のガロア群と呼ぶ。

下記の例において、 F は一般の体、 C, R, Qはそれぞれ複素数体実数体有理数体とする。また、 F(a) は体 F に元 a を添加した体、即ち F の全ての元と a をふくむ最小の体であるとする。

  • Gal(F/F)は恒等写像のみからなる自明な群。
  • Gal(C/R)は恒等写像と複素共役写像の2つの元からなる群[1]
  • Aut(R/Q)は自明な群であることが知られている。実際、Rの自己同型は順序を保つことが示せるので、必然的に恒等写像となる。
  • Aut(C/Q) は無限群になることが知られている。
  • Gal(Q(2)/Q) は、恒等写像および、2-2を入れ替える写像からなる。
  • K = Q(32)とするとき、Aut(K/Q)は自明な群となる。これはK正規拡大でない(x3 − 2の根を全て含んでいない)ためである。これはK分解体ではないからと言いかえることもできる。
  • ω を1の3乗根とするとき、拡大体L = Q(32, ω)は、多項式x3 - 2のQ上の分解体となり、自己同型群は、3次の置換群 S3と同型となる。
  • q を素数の累乗とし、F , E をそれぞれ 位数 q と位数 qn有限体とするとき、Gal(E/F) は位数 n の巡回群となる。
  • p を素数とするとき、 fp 次の有理係数既約多項式で、実数でない解をちょうど2つ持つならば、f のガロア群はp 次の置換群Spに等しい[2]

性質

ガロア理論の基本定理

L を体 K の有限次ガロア拡大とする。LK の中間体 MGal(L/K) の部分群 H について次の式が成立つ。




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