電気伝導度・比抵抗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 08:28 UTC 版)
電気伝導度(比抵抗)を対象とするものは、自然の電場を利用するものと、電気探査の人工的な電流により測定するものとがある。前者は一定ではないため精度が落ちる一方、後者は出力が限られるため通常は数km先までしか測定できない。GDS法を用いるのが一般的だが、水平方向の構造変化が少ない場所ではMT法も用いられる。観測例は報告されているが、震源が遠かったり、単独観測で比較性に欠けるなど、メカニズムの相関が明らかにされているとはいえない状況にある。Yamazaki(1975)はコサイスミック(地震と同時性)の比抵抗変化を観測し場合によっては地震より先に起こっているようにも見えると報告している。アメリカではサンアンドレアス断層の地震での観測例がある(Mazzella and Morrison,1974)ほか、1989年ロマ・プリータ地震では地震後であるが地震を境に太平洋側から電流が流れるようになったという報告がある(Madden and Mackie, 1996)。旧ソ連ではガルムで活発な観測が行われ、MHD発電や水力発電の電力を利用して観測が行われたほか、地震に先行して比抵抗が10%以上低下する例が報告されている(Barsukov,1972,1973,1974; Barsukov and Sorokin,1973; Barsukov et al.,1974; Al'tgauzen and Barsukov,1972)。中国では、1976年唐山地震に先行して10kmや80km離れた地点で変化があった一方で震源に近い地点では変化が無かったという報告がある(力武,1979)。1976年松潘-平武地震。 考えられるメカニズムとして、地殻内のひずみや応力が不均質に変化し水の移動が起こることが原因とする説がある。地殻を構成する岩石自体は伝導度が低いが、含有する水の効果により、地殻の電気伝導度として観測される値は岩石そのものより数桁高い。そのため、地殻内の割れ目や隙間に存在する水が移動すると、地殻の電気伝導度の観測値も変化するだろうと考えられている。
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