電気伝導の理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/05 06:08 UTC 版)
オームの法則 をはじめとする電気伝導のミクロな理論は、電子の存在が実験的に確認されて間もなく、ドルーデが古典的に行った。ドルーデはマクスウェルやボルツマンによる気体分子運動論を応用し、金属中の電子を古典的な自由電子気体としたドルーデモデルによってウィーデマン・フランツの法則を導いた。その後ローレンツは、電子の速度分布を考慮することでドルーデモデルを改良した。ドルーデモデルとそれを改良したローレンツの理論は、古典電子論と呼ばれる。 量子力学の適用はゾンマーフェルトによって行われ、電子はフェルミ分布に従うとした。これをドルーデ=ゾンマーフェルト模型と呼ばれる。 以上は基本的に固体中の電子を自由電子と見なしているが、電子は固体(結晶)がもつ規則性により周期的なポテンシャルを感じ、その結果ブロッホの定理を満たさなければならない。また格子は熱振動するため、固体中の電子は格子振動(フォノン)と相互作用する。これを電子-フォノン相互作用と呼ぶ。 非平衡の量子統計力学では、久保亮五が線形応答の範囲で輸送係数の一般公式を与えた。これはグリーン–久保公式などと呼ばれる。久保理論では体積が無限大の系を想定しているが、サイズが有限な系、とくにメゾスコピック系の電気伝導としては、ランダウアー公式が知られている。
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