電撃戦の原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 17:05 UTC 版)
電撃戦で鍵となるのは、戦闘が拡大している間勢いを持続させるために、軍をより高度な意思疎通能力と指揮能力を持つ機械化部隊として組織することであった。この考え方の基礎となったのは、全ての戦力を敵前線のただ一点に集中させて、その後砲兵と歩兵によって穴を開けるという、第一次世界大戦においても十分通用した方法、そして、従来の爆撃機への指令を司令部の要請からでなく、前線部隊の要請を中心とした近接攻撃に集中して、敵部隊に強烈な打撃を与える複合的行動であった。一旦前線に穴が開くと、戦車が侵入し前線の数百マイル後方にまで侵入できた。これにより攻撃側は敵の脆弱点(安易に破壊または破壊されると著しい損害を受ける地点)つまり、軽武装の兵站部隊、または前線司令部などの敵中枢を攻撃でき、敵の情報を遮断し補給を途絶、あわよくばそのままその戦線で勝利する事さえできた。この方法によれば、可能な限り戦闘を避けつつ、敵を混乱させることで小規模の軍で大規模な敵軍を撃破できた。 航空機が長距離砲の代わりとして敵の拠点を破壊、兵力の集中を奪い、攪乱・制圧する。次に無線通信を受けて戦車・自動車化歩兵の諸兵科連合部隊が、敵が陣地防御を準備する前に突撃し、敵陣深くに侵入するというもので、この際、進撃する部隊は突破口の確保に兵力を使用せず、進撃速度を最大限に上げる。従来の戦法と最も異なるのは、指揮権の権限委譲である。現場指揮官は、従来の中央集権的な指揮系統に頼るよりも、自らの判断に従うよう奨励された。 電撃戦では、いたずらに猛進するだけでは全ての防衛線を突破できずに行き詰まり、立ち直った敵軍により包囲される危険がある。したがって、敵の戦意をくじくための準備をし、明確な攻撃目標(重点)を設定することが欠かせない。何故なら、この戦法は敵戦力を撃滅するためでなく、あくまで敵の脆弱点を破壊し全体を混乱させる戦法であり、敵部隊は士気を除いてほとんど物理的損害を受けないからである。
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