重量分布の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/07 15:56 UTC 版)
同じ長さの胴体、同じスパンの翼であって、モーメントアームの長さが同一であっても、重量配分によってその振動の挙動が異なり、安定に影響する。 縦安定に関しては、この要因が新旧のゴム動力機の設計に鮮明に現れている。1950年代前半の規定では動力ゴムは無制限であり、150g以上のゴムが胴体全長にわたって搭載された。胴体の全長は1600mm以上に達し、後ろモーメントアーム(主翼と水平尾翼の距離)はその半分くらいであった。現在(2008年)の規定では、動力は制限され少量のゴムは機体の先端部に搭載される。また、重く精巧なプロペラやハイテク制御システムも機体の先端部に搭載され、胴体尾部は細く軽いパイプになった。つまり、重量物は機体の先端部の重心の近くに集中して搭載されるようになった。胴体の全長は大幅に短縮されたが、機首が重く、尾部が軽くなったので後ろモーメントアームの長さは昔とあまり変わらない。 主翼と尾翼を一定の長さの腕で結合した「空力的安定系」としては、両方とも同じ条件であるが、現実に飛行して気流の擾乱にゆすぶられた場合、両者の反応は異なる。前の胴体は、長さが1600mm以上あり、重量200gが均等に分布している棒であるのに対し、後者の胴体は全長・重量共に20%以上小さく、重量物は重心付近に集中している。だから、前者の慣性モーメントは大きく、小擾乱では揺れにくいが大擾乱で揺れ始めると止まらなくなる。加えて重量の大半は、自身が揺れる自由度を持つゴム束であるので、共振を起こして機体の揺れを増幅する。後者はその反対であり、揺れても減衰が早い。このように、縦揺れに対して、寸法仕様では同じであっても、大気の擾乱に対する挙動は大きく異なり、それに対処するために前者(昔の機体)の水平尾翼面積は後者(現在の機体)の2倍くらいである。横(ローリング)安定に関しては、上記と逆の現象が生じている。 前者は、スパン1m強で、重量20gくらいの主翼であったのに対して、後者の主翼重量は50~60g、スパンは1600mmくらいで、ローリングの慣性モーメントは大幅に増大している。したがって、ローリングに対する挙動は昔のほうが軽やかであった。
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重量分布の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 15:30 UTC 版)
同じ長さの胴体、同じスパンの翼であって、モーメントアームの長さが同一であっても、翼端の増設タンクによる翼端の重量増加など、重量配分によってその振動(ローリング)の挙動が異なり、安定に影響する。つまり、両端に重量が集まると、揺れ難いが、揺れだすと止まり難い。縦揺れ(ピッチング)の場合も、胴体の前・後端に重量物が配置された場合は同様の影響がある。
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