選挙権付与
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 09:24 UTC 版)
明治天皇は、部落民、アイヌ民族、ハンセン病患者を含む臣民男性に対し、平等に兵役義務を課し選挙権及び被選挙権を与えた。 ただし当初は納税額による制限選挙で、法律で全国統一の金額が定められたため、マイノリティーには経済格差のため参政が困難であった。沖縄県では、県民所得が全国平均の3分の2程度で有権者比率は少なかった。 制限は徐々に緩和され、1920年(大正9年)の時点では鹿児島県の部落民の有権者は衆議院選で154名、地方選で383名に達していた。 また、1920年には内地在住で兵役義務対象外の朝鮮人及び台湾人にも選挙権が与えられたが、納税要件を満たしたのは裕福な貿易商等の資産家に限られていた。 1925年(大正14年)に普通選挙が始まり、25歳以上の全国民男性に選挙権が与えられた。 ただし有権者当人が投票用紙に自書する必要があるので、非識字者はメモ書きした候補者名を書き写すなどして投票した。 ハンセン病患者も徴兵検査を受ける義務があり、投票所へ行けば選挙権を行使できた。1930年(昭和5年)には日本語識字力の無い朝鮮人のために、ハングル(朝鮮語)での投票が可能となった。 第二次世界大戦降伏による連合国軍占領下の日本で、1945年(昭和20年)10月に兵役法が治安維持法などと同時に廃止され、12月に衆議院選挙法が改正され選挙権は「20歳以上の全国民男女」であり男女平等となった。 一方で、植民地籍者の選挙権は保留となった。1950年(昭和25年)に公職選挙法が施行され、投票立会人による代理投票や不在者投票が実現した。
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