運転時隔と車両性能の検討
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:51 UTC 版)
「国鉄103系電車」の記事における「運転時隔と車両性能の検討」の解説
場内信号機建植に特例がある区間(昭和40年)線名区間東北本線 東京 - 大宮間(電車線) 東海道本線 東京 - 横浜間(電車線) 根岸線 横浜 - 磯子間 山手線 電車線 中央本線 東京 - 高尾間 総武本線 御茶ノ水 - 千葉間 常磐線 日暮里 - 松戸間 大阪環状線 全線 国鉄では列車同士の追突を防止するために列車の進路を閉塞という区画で区切り信号機により追突を防止する信号保安というシステムを用いた。列車と列車の運転時隔を縮めるためには前を走る列車が駅に停車中に、後続の列車が進行信号で走行する必要があるが、ラッシュ時は客扱いに30秒以上停車する駅もあり、運転時隔を2分以下とするには駅から先行列車が迅速に発車し、後続列車が進行信号で駅に進入するシステムが必要となる。京浜東北線と山手線が同一線上を走っていた1952年10月よりラッシュ時に各々3分40秒間隔、双方合わせると1分50秒間隔運転を開始した際には、後続列車に進行信号を現示し停車時間を確保するために一部の駅のホーム中間に信号機を増設した。モハ90形通勤電車においては、高加速度にて駅から早く発車し運転時隔を縮めようとしたが、電力設備が追いつかず、旧形国電とさほど変わらぬ加速度に落ち着いたが、運転時分を短縮するにはホーム中間に信号機を設ける方法は効果的なことから、京浜東北線と山手線が分離運転を始めた1956年11月19日以降も大部分の駅にホーム中間信号機を設置したが、それ以外にも信号機をこれまでの赤・黄・緑の3灯現示以外に25 km/h以下での進行を指示する警戒信号(黄+黄)や65 km/h以下で進む減速信号(黄+緑)などの多灯信号機を導入し駅手前に短い閉塞区間を設けるなどの措置を講じた。 ホーム中間信号機が設置してある線区での運転時隔は、列車最後部がホーム中間の信号機を通過するまでの走行時間が重要となり、その場合は4.0 km/h/sの高加速度でも2.0 km/h/sの加速度でも運転時隔に差がないことが判明した。ホーム中間に信号機がある場合、後続列車への影響は駅を出た列車の最後尾がホームを出た先にある出発信号機を通過する時間ではなく、ホーム中間の信号機を通過するまでの時間が重要となり、ホーム中間の信号機は列車停止位置の最後尾から100 m以下であるため、列車の起動加速度を究極まで高めても効果が低いためだ。運転時分の算定にはブレーキ初速度やホーム中間の信号機の位置、列車の長さなど、いくつかのパラメータを与えれば求まる計算式があり、それらを様々な条件を当てはめてシミュレートした結果、起動加速度2.0 km/h/s・減速度2.5 km/h/s程度、ブレーキ初速度60 km/h程度、ホーム中間の信号機を設けていることが適していることがわかった。これらのことから、新形通勤電車の設計にあたっては、起動時の電流量が多くなり電力設備に負荷をかける加速度を高めるのではなく、加速度は低く2.0 km/h/s程度に抑え、ブレーキ減速度を3.5 km/h/sと高めにとることにした。 なお、場内信号機の建植位置は、運転保安設備基準規程により駅の列車停止位置より150 m以上外方と決められているが、表の路線は特例としてホーム中央などに場内信号機を設置した。1961年(昭和36年)当時の山手線品川 - 新宿 - 田端間でホーム中間に信号機が設置されていたのは一部の駅だけであったが、1974年までに全駅でホーム中間に信号機の整備が完了している。
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