運転時隔曲線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/01/21 06:40 UTC 版)
運転時隔を考えるために、運転時隔曲線が用いられる。通常、列車の運行を考える時には、列車を質点とみなしてある一点の動きを考えることが多いが、運転時隔曲線においては列車の前端と後端を明示して描く。右図に示した例では、駅Aと駅Bの間を運行する2本の列車についての運転時隔を検討している。この2本の列車はどちらも駅A・駅Bの両方に停車する。この間には閉塞信号機が2つあり、これらの信号機は三位式の信号機であるものとする。つまり、列車Aの後端が第1閉塞信号機の位置を通り過ぎれば、駅A出発信号機が進行になる。縦軸が距離で、横軸が時間を表す。 青い線で示したものが先行列車で、赤い線で示したものが続行列車である。2本の同じ色の線は、それぞれ列車の前端と後端を示している。この曲線は、列車の加速度や減速度などを考慮して引いたもので、運転曲線の一種である。薄い青で着色されている領域は駅に停車している時間と占有領域を示している。閉塞の考え方に基づくと、列車の後端が閉塞信号機の位置(閉塞境界)を通り過ぎた時点で、2つ手前の閉塞信号機が進行になる。この例では、「この時点で駅A出発信号機が進行に変わる」と書かれている縦線の時刻で、先行列車後端が第1閉塞信号機を通過し、駅Aの出発信号機が進行になる。この時点で続行列車は駅Aを出発することができ、この位置までの横線の長さから駅Aの最短出発時隔を求めることができる。 一方、先行列車が駅Bを出発して、その後端が駅Bの出発信号機を通過した時点で、その2つ手前に位置する第1閉塞信号機が進行に変わる。この時点で続行列車は第1閉塞信号機を通過することができるが、それまで第1閉塞信号機は進行ではなかったため、続行列車が第1閉塞信号機直前まで接近していた場合はそれに合わせて減速していなければならないことになる。続行列車が減速せずに通常通りの運転ができるためには、第1閉塞信号機が見えた時点で既に進行になっていなければならない。このことから、続行列車が速度制限を受けずにもっとも先行列車に接近して走行できるのは、第1閉塞信号機が進行に変わった時点でその信号確認距離だけ手前にいる状態となる。このことから、図に示したように駅間最短時隔が求められる。 こうした運転時隔曲線は、信号機の位置を実際の配置に応じて様々に変えて、また駅を通過する場合、追い抜きをする場合、終着駅で折り返す場合など、局面を変えながら描かれて、個別の事例における最短の運転時隔を求めるために使われている。
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