農地損失
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 02:47 UTC 版)
「環境に及ぼす人類の影響」の記事における「農地損失」の解説
「砂漠化」、「土壌劣化」、および「:en:agricultural expansion」も参照 ラルとスチュワートは、劣化と放棄による世界規模の農地損失を年間1200万ヘクタールと推定している。こうした損失は土壌浸食だけでなく、塩害、栄養素や有機物の減少、酸性化、圧密、沈下なども一因となっている。人為的な土壌劣化は特に乾燥地域で深刻になる傾向がある。土質に焦点を絞ると、オルデマンは全世界で約1900万平方kmの土壌が劣化したと推定しており、土壌のほか植物被覆の劣化を含めると世界の乾燥地域で約3,600万平方kmが劣化するとの推算もある。農地損失の推定がある一方で、世界の作物生産に使われている耕作地面積は1961年から2012年にかけて約9%増加し、2012年には13億9,600万ヘクタールになったと推定されている。 世界平均の土壌侵食率は高いとされ、従来耕作地の侵食率は土壌生産率の推定値よりも桁が通常ひとつ多いと考えられている。 米国では、自然資源保全局(NRCS)による侵食推定用のサンプル取得は統計に基づき、推定には汎用土壌流亡式(USLE)と風食式(WEE)が用いられる。 2010年に、米国領土以外の土地における岩床、リル (地形)、風食による年間平均土壌流出は、耕作地では10.7トン/ ha、牧草地では1.9トン/ haと推定された。米国耕作地の平均土壌侵食率は1982年以来約34%減少している。小麦や大麦などの穀物生産に使用される北米耕作地では、不耕起や低耕起の実践がますます一般的になっている。未開墾の耕作地では、直近2010年の平均総土壌損失が年間2.2トン/ haである。従来の耕作法を用いる農業と比較して、不耕起農法は土壌生産率に非常に近い侵食率で済むことから、持続可能な農業の基盤を提供しうるものだと示唆されている。 土壌劣化とは、土地作業する人為的過程の組み合わせによって生物的・物理的環境の価値が影響を受けるプロセスである。それは有害や望ましくないと認識される土壌への変更や攪乱と見なされている。原因として自然災害は除外されるが、人類の活動は洪水や山火事などの現象に間接的影響を与えている可能性がある。土壌劣化は農業生産性、環境、食糧安全保障に影響を及ぼすため、このことは21世紀の重要なテーマだと考えられている。世界にある農地の最大40%が深刻に劣化していると推定されている。
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