車体面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 22:56 UTC 版)
「JR福知山線脱線事故」の記事における「車体面」の解説
事故を起こした207系車両がステンレス鋼製の軽量構造で、旧来の板厚の大きい鋼鉄製に比べ、車体側面からの衝撃に弱いという報道が相次いだ。しかし、一般的に、長尺物はその材質によらず、側面方向の衝撃が一点にかかるとそこにエネルギーが集中するので破壊がおきやすい(飲料水などの金属製の缶類がわかりやすい例として挙げられる)。ステンレス鋼自体も普通鋼と比べると、鋼板の粘りなどで有利な面もあり、一概に強度が低いとは言えないと言う反論もある。また、錆が出ないため、経年劣化が著しく少ないという点でも有利である。 また、207系車両は従来の車両に近い構造の車体設計となっており、のちに登場した同社の223系2000番台や321系においても、製造コスト削減と量産体制の簡素化を図りながら、従来の車両と同等の強度を確保することを両立させるため、梁を省略する代わりに車体側板の強度を上げることにより、車体全体を支える設計思想に基づく車体構造となっている(これはJR東日本の209系以降の通勤・近郊型車両でも、ほぼ同じ設計思想である)。 原型を留めること無くステンレス鋼体の車両が破壊された重大事故であることを鑑み、「客室内の空間が確保されるよう車体構造を改善することを含め、引き続き車両の安全性向上方策の研究を進めるべき」との所見が航空・鉄道事故調査委員会から提出されている。これをうけて、223系5500番台以降の新型車両で、屋根と車体側面、台枠と車体側面への結合部材の追加、戸袋部(ドア)柱への補強の追加、車体側面の外板の材質変更をおこなっている。また、JR東日本E233系も製造当初から側面の強化を実施した。
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