走化性リガンド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 14:34 UTC 版)
走化性反応を惹起しうる分子の数はかなり多いが、一次走化性分子と二次性走化性分子に分けることができる。一次性リガンドの主なグループとしては以下のものがあげられる: ホルミルペプチドはバクテリア由来でアミノ酸2、3、4残基のペプチドである(N末端および開始コドンの項を参照)。これらは生体内で細菌の細胞が分解すると放出される。主なものとしてN-ホルミルメチオニルロイシルフェニルアラニン(fMLPあるいはfMLFと略される)。細菌由来のfMLPは好中球や単球に対して特異的な化学誘引効果をもっており、炎症反応で主要な役割を果たす。 補体C3aおよびC5aは補体経路の中間産物である。 これらは補体系の3つの経路(古典経路、副経路、レクチン経路)でそれぞれ転換酵素によって合成される。走化性因子としてのC3aとC5aの主な標的も好中球と単球である。 ケモカインはサイトカインの特殊なグループの一つである。ケモカイングループ(C, CC, CXCおよびCX3Cケモカイン)は独特なジスルフィド結合の配列を持った構造的に関連がある異なる分子というだけでなく、それぞれの標的とする細胞もそれぞれ異なっている。CCケモカインは(RANTESのように)単球に作用し、CXCケモカインは(IL-8のように)好中球に特異的に作用する。 ケモカインの三次構造の解析により、βシートとαヘリックスの特徴的な構成がケモカイン受容体との相互作用に必要な配列を表現しているのがわかる。IL-8などのケモカインでは、二量体が形成され生物活性が増強していることが結晶学的に示されている。 ロイコトリエンはエイコサノイドの一種であり、アラキドン酸カスケードで5-リポキシゲナーゼによって合成される脂質メディエーターである。主要な産物であるロイコトリエンB4(LTB4)は白血球の接着、化学走性および凝集を誘発するが、炎症やアレルギー反応時に高度に発現するロイコトリエン受容体(7回膜貫通型Gタンパク共役受容体)を通じて走化性反応を起こす。
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