赤外線リモコンのデータフォーマット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/17 01:43 UTC 版)
「リモコン」の記事における「赤外線リモコンのデータフォーマット」の解説
赤外線リモコンのデータフォーマット(信号の様式)は、コードと呼ばれる一連の符号になっており、その多くでは制御される側の機器を区別するカスタムコードないしデバイスコード(固有の識別子)と、各々の動作を指定するためのデータコード(例えばテレビなら「電源を入り切りする」や「チャンネルを切り替える」など)の組み合わせから成る。そしてリモコン側のボタンを操作すると、カスタムコードとデータコードが一連の信号となって発信されるよう設計されている。 赤外線リモコンのデータフォーマットに統一的な規格は存在しない。したがってメーカーごとにデータフォーマットの様式は異なる。ただし、実際には信号を制御する集積回路メーカーやリモコンそのものをOEM生産するメーカーが限られており、一定のデータフォーマットの集約がみられる。なお、データコード部には制御される側の機器メーカー(ベンダ)独自の拡張仕様をもつものもある。 代表的なデータフォーマットには次のようなものがある。 NECフォーマット ソニー以外のほとんどの映像音響機器に使用されているデータフォーマット。送信データは16ビットのカスタムコードと、それら機器の動作を決める16ビットのデータコード(実際には8ビットのデータコードと、その反転コードの組み合わせ)から構成される。カスタムコードのベンダーへの割り当ては、ルネサスエレクトロニクスが管理している。 家製協フォーマット 生活家電機器に多く使用されているデータフォーマット。エアコン・照明器具・温水便座・一部メーカーの映像音響機器などである。送信データは制御側機器を区別する20ビットのカスタムコードと、任意長のデータコードから構成される。カスタムコードのベンダーへの割り当ては、財団法人家電製品協会が管理している。 SONYフォーマット もっぱらソニー製品に使用されるデータフォーマット。7ビットのデータコードと、5から13ビットのデバイスコードにより構成されている。 赤外線リモコンはデータフォーマットごとに信号の構成こそ異なるが、いずれも38~40kHzの搬送波出力のONとOFFを変調し、これを1または0のビットとして伝送する仕組みを用いている。物理的にはピーク値が950nm程度の赤外線を使用し、38 - 40kHz(約25μs)の明滅パルスを搬送波(キャリア)として、それをさらにミリ秒(1/1000秒)という周期で点滅し、この点滅する間隔や長さを変化させることで二進符号化を行っている点で共通している。いわゆる学習リモコンが、多種類のリモコンのシグナルに対応できるのは、このような基本部分でのフォーマットが共通しているからである。 日本国内では上記のフォーマットやベンダーコードが重複しないよう配慮され、信号内容の違いにより混信や誤動作を防いでいるが、日本製品以外の家電製品では、このフォーマットに配慮しないで製造されたものもある。このため、輸入された家電品が日本製の別の機器に付属するリモコンの信号で誤動作するものがあることが知られている。
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