赤外線分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 02:34 UTC 版)
2004年にカナダ国立研究機構 (en:National Research Council (Canada)) が『モナ・リザ』の赤外線三次元分析を実施したが、画肌に塗布されたワニスの経年変化のために詳細部分の解析は困難を極めた。この赤外線分析で得られたデータから、フランス美術館研究修復センターのブルーノ・モッタンは、『モナ・リザ』の女性が身につけている半透明の紗のヴェールが、グアルネッロと呼ばれる、妊娠中あるいは出産直後の女性が使用していたものだと結論付けた。よく似たグアルネッロが、ボッティチェッリの1470年ごろの作品『エスメラルダ・ブランディーニの肖像』(en:Portrait of a Lady known as Smeralda Bandinelli) にも描かれている。現在ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館が所蔵するこの作品は妊婦を描いた肖像画である。さらに、赤外線分析によって、『モナ・リザ』に描かれている女性の髪が無造作に下ろされているのではなく、後頭部でボンネットないし髪留めピンのようなものでシニョン (en:Chignon (hairstyle)) にまとめられていることも判明している。16世紀では、無造作に下ろした髪は未婚の少女か娼婦の髪型だとされていた。この発見により、『モナ・リザ』のモデルとされるリザ・デル・ジョコンダが既婚女性なのに、下ろした髪型で描かれているという矛盾点が解決された。 また、この赤外線分析のデータから、レオナルドが用いた技法を明らかにし、現在の保存手法が継続された場合には僅かではあるが状態が劣化する可能性があることも指摘した研究者もいる。2006年にも『モナ・リザ』に科学分析が実施された。赤外線カメラによる精査から制作初期の『モナ・リザ』にはボンネットを着けて束ねられた髪型の女性が描かれていたが、制作過程のどこかの時点で、レオナルドが現在の髪型へと変更したことが判明している。
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