貞心尼の迷いに良寛からの手紙とは? わかりやすく解説

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貞心尼の迷いに良寛からの手紙(文政11年11月=冬 31歳)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 05:42 UTC 版)

貞心尼」の記事における「貞心尼の迷いに良寛からの手紙(文政11年11月=冬 31歳)」の解説

貞心尼がまとめた「はちすの露」には、良寛との贈答歌載っている。〕 ほどへてみせうそこ給はりけるなかに 君やわする道やかくる丶このごろまてどくらせど音づれもなき 師 〔この歌は、良寛貞心尼出会った翌年秋には必ず逢う約束をしていたにもかかわらず、姿を現さぬ貞心尼良寛宛てた書簡中にあるもの。『良寛書簡集』(谷川俊朗編 恒文社)p. 297 によれば次のように良寛の歌が、当初歌われた順のままに、手紙残っていることがわかる。この歌が詠まれた状況を知るには、谷川氏の解説不可欠である。長くなるが同著から引用する。〕 かへし ひさかたの月のひかりのきよければ てらしぬきかり からもやまとも むかしもいまも うそもまことも やみもひかりも はれやらぬ みねのうすぐもたちさりて のちのひかりとおもはずやきみ ふゆのはじめのころ きみやわするみちやかくる丶このごろまてどくらせどをとづれのなき 良 寛 霜月四日 ○この書簡にも宛名がない。しかし、歌はいずれも『はちすの露』にあるから、貞心尼宛の書簡である。この書簡初めにある「かへし」とは、次の貞心尼の歌に対してである。 やまのはのつきはさやかにてらせども まだはれやらぬみねのうすぐも貞心尼貞心尼は、仏法対す悟りがまだ得られないことを、良寛訴えたのである。それに対して良寛は、月の光のような清く尊い仏のみ心は、唐(から)の国も日本も、昔も今も、うそも真実も、闇の世界明る世界も、みな同じよう照らして理解するようにしておられる。だから、あなたもやがて仏のみ心を理解できるであろうと、歌で教えたであった。 この歌は、変わった形式である。従来歌集にはないようだ。その形式中に良寛は、空間世界時間世界内面世界外面理念世界を対にして、月輪のごとき丸円満な仏法は、宇宙実相わけへだてなく、あまなく照らしている、と教えたのである。 さらに良寛は、あなたの心の迷いはやがて消え去り月の光のような仏法の光が、あらゆる隅々まで、きっと照らし出すだろうよ、そのようにあなたは仏法を悟ることができるはずだ、と歌で示した。これらの歌に接した貞心尼は、仏法理解でき、その喜びを歌にして良寛送った。 我も人もうそもまことも隔てなく 照らしぬきけり月のさやけさ 覚めぬれば闇も光もなかりけり 夢路を照らす有明の月貞心尼良寛も、すぐに祝福の歌を返した天が下満つる玉よりこがねより 春の初めの君がおとづれ 〔良寛〕 なお、書簡最後の歌について、『はちすの露』の中で貞心尼は、「ほどへてきせうこそ給はりけるなかに」と詞書をつけ、返歌記している。 御かへし奉るとて 〔貞心尼〕 ことしげきむぐらのいほにとぢられて みをばこ丶ろにまかせざりけり 良寛は、貞心尼訪問約束違えて、なかなか来てくれない不満を、それとなく述べたのである。それに対して貞心尼が、訪問できなかった言いわけを歌で示したであった。 なお、『はちすの露』の、この部分頭注に、「こは人の庵に」有りし時なり」と、貞心尼書き記している。このころ貞心尼は、柏崎二人尼僧のもとで、庵室に籠(こも)って修行いそしんでいたのである。すると、この書状文政十一年(一八二八十一月四日のものかもしれない。 — 谷川俊朗編 、『良寛書簡集1988, pp. 297300

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