諸結果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/01 20:52 UTC 版)
Wang (1980)は多項式の次数が 2 の場合にヤコビアン予想を証明した。Bass, Connell & Wright (1982)は一般の場合が次数 3 という特殊な場合から従うことを示した。あるいはもっと具体的に、F が立方斉次型、つまり F = (X1 + H1, ..., Xn + Hn) という形で、各 Hi がゼロまたは斉次立方(斉次の3次多項式)である場合に帰着される。Drużkowski (1983)は、さらに写像が立方線型つまりゼロでない Hi はどれも斉次線型多項式の立方(3乗)であると仮定できることを示した。これらの帰着は余計な変数を追加することによって為されているので、N を固定した場合には機能しない。 Connell & van den Dries (1983)はもしヤコビアン予想が偽ならば、それには整数係数であってヤコビアン行列式が 1 であるような反例を持つことを示した。その結果、ヤコビアン予想は標数 0 の全ての体で成立するか、もしくは全く成立しないかのどちらかである。(訳注:ある体で整数係数でヤコビアン行列式が 1 であるような反例が見つかったならば、その反例は他の任意の体に於いても反例になるから。) k[X] で多項式環 k[X1, ..., Xn]、k[F] で f1, ..., fn によって生成される k-部分代数を表すことにしよう。所与の F に対し、ヤコビアン予想が真であるのは、k[X] = k[F] のときであり、かつそのときに限る。Keller (1939) は双有理型の場合、つまりふたつの体 k(X) と k(F) が等しい場合を証明した。k(X) が k(F) のガロア拡大の場合は、複素写像に対してはCampbell (1973)によって証明され、一般の写像についてはRazar (1979)およびWright (1981)によって独立に証明された。Moh (1983)は次数100以下の2変数のケースについて予想を検証した。 de Bondt, van den Essen & 2005, 2005とDrużkowski (2005)は独立に、ヤコビアン予想は立方斉次型で対称ヤコビアン行列を持つ複素写像の場合について証明すれば十分であることを示した。また立方線型で対称ヤコビアン行列を持つ写像について予想が成立することを、標数 0 の全ての体上で示した。 強実ヤコビアン予想とは、実多項式写像でヤコビアン行列がどこでも消えないものは滑らかな大域逆写像を持つ、というものである。これはそうした写像が位相的に固有写像になっているかを問うことに等しい。そのようなケースではその写像は単連結多様体の被覆写像になっており、したがって可逆である。Sergey Pinchuk (1994)は全次数が25あるいはそれ以上を持つ2変数の反例を構成した。 よく知られているように、ディキシミエ予想(英語版)はヤコビアン予想を導く(Bass et al. 1982 を参照)。逆に、土基善文 (2005)とAlexei Belov-Kanel and Maxim Kontsevich (2007)によって独立に示されたように、2N 変数のヤコビアン予想は N 次元のディキシミエ予想を導く。この最後の含意の自己完結的で純粋に代数的な証明はP. K. Adjamagbo and A. van den Essen (2007)によって与えられている。同論文ではこれらの予想がポワソン予想と同値であることも証明している。
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