試作機「モノリス」とThinkPad 220
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「Palm Top PC 110」の記事における「試作機「モノリス」とThinkPad 220」の解説
1991年日本IBMからノートパソコン「PS/55 note」が発売されたが重さが2.5kgもあり、持ち歩くのは困難であった。そこで、同年春からPS/55 noteを開発したチームが小型化を検討し、「(VHS)ビデオのケースから取り出せば意表を突いて面白いのではないか」という発想でサイズが決定した。 黒い筐体の外装プロトタイプはすぐにできあがり、『2001年宇宙の旅』に登場した黒い岩板のような「モノリス」に似ていたことから、開発コードネームは「モノリス」と名付けられた。 モノリスの内部のプロトタイプは1991年8月にはできあがった。重さ500g、i386SL-20MHz、2MB RAM、640×480ドットVGA16階調のモノクロ液晶、単3電池4本で駆動した。しかし、ディスプレイが5インチ弱で今のようにバックライトもないため漢字表示は見難く、製品化は見送られることになった。 そのモノリスをベースに開発されたのがThinkPad 220であった。最初のプロトタイプは1991年末までには完成した。1993年5月、220は「ビジネスシヨウ '93 TOKYO」でモノリスと共に展示された。220は同年夏に、当時日本IBMが販売していたマルチステーション5550に因み5550台限定で販売され完売し、サブノートPCというジャンルを開拓した。以後、このジャンルはThinkPad 230Csから現在のThinkPad Xシリーズにまで受け継がれている。 一方、ビジネスシヨウを見た者がパソコン通信で「モノリスを出せ」、あるいは勝手に名前を付けて「ThinkPad 110を出せ」、などという書き込みがあり、PC110はこれらの声に答えたものであった。あちこちの凝りに凝った作りも、マニアの声に答えるというより、自分たちのやりたいことをできるだけ詰め込んだと言うように見てとれる。試作機モノリスへの思いも込めて、PC110の基板上には、"MONOLITH 1992"と刻印されているのも、それを示したものと言える。電話機能も必ずしも実用的なものではない(多分使わなかった人が大部分だと思われる)が、できるだけいろいろな機能をいれたい、あるいは可能性を世に問いたいという思いのためであろう。企画段階ではさらに多くのものがあったという。コンピュータにインターネット、電話、カメラを合わせる発想はその後の携帯電話やスマートフォンの進歩を先取りしたものであると言える。
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