評価の通知に関する問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/28 18:22 UTC 版)
「観点別学習状況」の記事における「評価の通知に関する問題点」の解説
各学期ごとに通知表等に記載する例では、各教科が4〜5つの観点項目それぞれに評価がなされ、それが一度に通知されるので、評価の返し方によっては、通知表や評価カードなどの一覧表に、たくさんのA, B, Cや記号が羅列することにもなりかねない。 例えば、3学期制の中学校で、必修9教科(国語、社会、数学、理科、英語、音楽、美術、保健体育、技術・家庭)の観点別評価を各学期末に通知表に記載する場合、教師(多くの場合学級担任)は、1人あたり1学期に37個の記号を、学級ごとに記載された観点別評価の一覧表から1人1人の生徒の通知表へ、誤りなく転記する作業を行う。ただし、選択教科の観点別評価が行われることもあるため、1人あたりの記号の数は37個以上となることもしばしばである。仮に学級の生徒数が30人だとすると、1学期の通知表を作成するためには、観点別評価の記号を少なくとも 37 × 30 = 1110 個転記する作業を行い、その他に評定や、生徒1人1人の所見を記入し、出欠の記録をまとめたりすることになる。これらを全て、誤りなく行うことは大変神経を使う作業である。 このような背景から、評価を返す作業の効率化のために、成績の処理はコンピュータのデータベースを用いるべきとの意見も挙がっており、実際にデータベースを活用して成績処理を行っている事例も年々増加している。しかし、職員室の中にデータベースを扱うのに十分なコンピュータ環境が整っていないという学校もまだまだ多く、また、「個人情報保護の観点から、成績を電子情報にするべきではない」、「コンピュータ化している世の中だからこそ、あえて通知表は手書きにこだわりたい」などの意見もあるなど、成績のデータベース化が進んでいない、あるいは行われていない学校が多い。 また、前述の3学期制の中学校の例では、年間で1人あたり、必修教科だけで 37 × 3 = 111 個の観点別評価の記号が並ぶことになる。実際にはこれに選択教科の観点別評価が加わるのでそれ以上である。児童生徒や保護者の立場から見てみても、大量に並んだA, B, Cや記号を見て評価を読み取ることは大変である。結局のところ、受け取った通知表を見たとき評定にのみ目が行ってしまう児童生徒や保護者も少なくない。そのため、観点別評価は別表にして配布する学校も見られるが、「1枚の紙に評価と評定が載っていないため、かえって見づらい」という意見もあるなど、「より見やすい評価の返し方」もまだまだ研究が必要である。
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