証人テストとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 証人テストの意味・解説 

しょうにん‐テスト【証人テスト】

読み方:しょうにんてすと

公判での証人尋問先立って検察官または弁護人が、事前に証人面談し事実関係確認すること。証人尋問準備として、刑事訴訟規則規定(第191条の3)。


証人テスト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/28 15:38 UTC 版)

証人テスト(しょうにんテスト)とは訴訟において証人尋問前の証人に事実確認を確かめる手続きのこと[1]

概要

刑事訴訟においては刑事訴訟規則第191条の3は、「証人の尋問を請求した検察官又は弁護人は、証人その他の関係者に事実を確かめる等の方法によって、適切な尋問をすることができるように準備しなければならない」と規定し、証人の尋問を請求した者への証人尋問に関する準備義務が規定されている。同規則第192条により、一定条件の例外を除いて主尋問に対する誘導尋問は禁止されている。証人尋問での交互尋問に関する詳細な規定が付加・整備された際に証人尋問の実効性を保障するために1957年の刑事訴訟規則改正で明文化された。

証人の記憶が薄れることや慣れない法廷で緊張することにより、公判進行が滞るのを防ぎ、限られた時間内で十分な証言を引き出す目的で行われる。証人尋問における予行演習やリハーサルとも取れる。その一方で、証人テストにおいて証人への威圧や偽証教唆と疑われるような行動はとってはならないとされる。

しかし、検察官の証人テストでは他者の刑事被告人に関して有罪性を強めていた検察官面前調書の中身に沿ったような証言内容を証人に指示している等の指摘がある[2]。検察官が証人に対して膨大な数の証人テストを行ったり、弁護人からの反対尋問に対する想定問答集が作成されたりしていたことが、法廷での証人尋問が行われた後で明らかになることがある。想定問答集について検察は証人と協議して作成したとして誘導尋問を否定している。膨大な数の証人テストを行ったり、想定問答集が作成されたりしていたことが判明しても、裁判所は客観的証拠に合わない部分は別であるが、他者の刑事被告人に関して有罪性を強めるような証言内容について全面的に否定することは多くない。また、検察官の証人テストのために主尋問をする対象の証人は、逮捕の有無や起訴の有無は別にして検察から捜査対象だった事例も少なくない。以上の経緯から、検察による証人テストが、刑事訴訟を担当する弁護人から問題視されている。検察官の録音・録画など可視化の対象外であるため、そこでのやりとりは公判記録に残らない[1]

主尋問において証人テストで証人に証言内容を指示することは検察官側に限ったことではなく、弁護人側でも起こりうることではある。実務上は刑事訴訟においては主尋問は検察官による請求が多いことや、検察官は弁護人と異なり訴追権及び裁判所の許可に基づく強制捜査権や逮捕権があることから、検察官による証人テストが問題視されることが多い。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 「検察、証人に「想定問答集」 鈴木宗男氏の汚職事件公判」『朝日新聞朝日新聞社、2014年2月12日。
  2. ^ 北山六郎 1991, pp. 296・298.

参考文献

  • 北山六郎 『実務刑事弁護』三省堂、1991年。ISBN 9784385313023 

関連項目

外部リンク


証人テスト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 16:50 UTC 版)

刑事訴訟規則」の記事における「証人テスト」の解説

191条の3「証人尋問請求した検察官又は弁護人は、証人その他の関係者に事実確かめる等の方法によつて、適切な尋問をすることができるように準備しなければならない」の規定基づいて行われているもの。 刑事裁判で、公判での証人尋問前に証人事実関係確認する手続きで、検察弁護双方証人面談し法廷証言でどんな話をどんな順番聞くか、打ち合わせをするもの。法廷証人緊張することで、進行滞るのを防ぎ十分な証言引き出目的であるが、取調べとは異なり録音・録画など可視化対象外である。検察側が誘導尋問準備をしている等の指摘があり、弁護士界の一部は証人テストの全面可視化求めている。 元衆議院議員鈴木宗男汚職事件公判において、東京地方検察庁検事が証人テストで証人尋問メモ渡し検察側に有利になる証言指示してたとする2014年1月15日朝日新聞社報道を受け、同月29日鈴木貴子は第186通常国会質問主意書提出した内閣同年2月7日、 「証人テストの際、検察側が証人となる者に対し事実ではないことを裁判の場で証言するよう求めること」が、この規定該当する行為を行うよう求めることを指すのであればそのようなことをしてはならないことは当然である。(中略検察当局においては証人体験した事実記憶状況表現能力等について十分確認するなどして、いわゆる証人テストを適切に実施しているものと承知しており、仮に不当な証人テストが実施されることにより証言信用性問題があると疑われる場合には、証人尋問において、その経緯等吟味されるものと承知している。 —内閣総理大臣 安倍晋三,衆議院議員鈴木貴子提出いわゆる「証人テスト」に関する質問対す答弁書 とする答弁書閣議決定している。

※この「証人テスト」の解説は、「刑事訴訟規則」の解説の一部です。
「証人テスト」を含む「刑事訴訟規則」の記事については、「刑事訴訟規則」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「証人テスト」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「証人テスト」の関連用語

証人テストのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



証人テストのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの証人テスト (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの刑事訴訟規則 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS