血管内リンパ腫症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 09:59 UTC 版)
血管内リンパ腫症(intravascular lymphomatosis)は主に節外臓器の微小血管内を閉塞性に進展する悪性リンパ腫である。病理学的にはびまん性大細胞型B細胞細胞リンパ腫の亜型である。血管内リンパ腫症で血管腔の血管内皮に細胞が集まりやすい理由は、細胞の表面に発現される分子によると考えられている。血管内リンパ腫症は極めて稀であり、欧米では100万人あたり1人とされているがアジアでの頻度は不明である。皮膚症状や神経症状が主体のWestern variantと血球貪食症候群を合併するAsian variantが知られている。一般に発症は亜急性で経過は急速進行性であり、約6ヶ月~2年の経過で多臓器不全により死亡し、病理解剖で確定診断されることが多かった。しかしランダム皮膚生検など診断法の改善やCHOP療法とリツキシマブとの併用療法の普及により予後は改善してきている。筋生検による診断率も高い。中枢神経系の障害を認める血管内リンパ腫で選択される治療法は確立していない。HD-MTXとR-CHOPを組み合わせた併用療法がしばしば行われる。 亜型 Western variant 神経症状(39%)と皮膚症状(39%)が主症状である。典型的な皮疹は有痛性の発赤病変である。認知症や末梢神経障害など急激に進行する神経徴候を伴うことが多い。骨髄(32%)、脾臓(26%)、肝臓(26%)も障害されることが多い。 Asian variant 神経症状(27%)、皮膚症状(15%)である。貧血(63%)、血小板減少(29%)、白血球減少(24%)や血球貪食症候群(59%)といった血球異常が認められる。骨髄(75%)、脾臓(67%)、肝臓(55%)も障害されることが多い。B症状も認められることが多い。 Cutaneous variant 皮膚に限局するタイプである。 臨床症状 血管内リンパ腫は不明熱、易疲労感などの全身症状、発疹、紅斑といった皮膚症状や認知機能障害や意識障害などの進行性の神経症状が認められる。 不明熱 血管内リンパ腫は不明熱と多臓器不全を起こす疾患として知られており、特に不明熱とPS不良の症例で疑う。 皮膚症状 血管内リンパ腫に認められる皮膚病変は多彩である。1999年にKrausらが外見上異常がない皮膚でも血管内リンパ腫の病変が認められることを報告している。 神経症状 血管内リンパ腫は全経過を通してみると60%以上で認められる。最も多いのが脳血管障害(76%)であり、脊髄・神経根障害(38%)、亜急性脳症(27%)、脳神経障害(21%)、眼科的障害(16%)、末梢神経障害(5%)、ミオパチー(3%)である。脳血管障害は脳梗塞が多く、亜急性脳症は意識障害や精神症状を示す。脊髄・神経根障害ではくも膜腔から脳実質内の小血管内腔に腫瘍細胞が充満し頸髄から腰髄まで広範囲にわたる虚血性の壊死病変を認める。好発部位は腰髄から仙髄であり対麻痺、感覚障害、膀胱直腸障害を示す。
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血管内リンパ腫症
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血管内リンパ腫症の末梢神経障害は多彩な表現型をとる。神経生検や筋生検で診断される例もある。
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血管内リンパ腫症
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筋肉MRIで異常信号を呈した部位の筋生検で診断ができず、腎生検で血管内リンパ腫症と診断した例がある。異常信号は神経原性筋萎縮と考えられる。筋肉しばしば血管内リンパ腫症の組織診が行われる。筋原性変化の程度は報告により幅がある。血管外である筋細胞に浸潤する例も報告されている。化学療法で筋力が回復した例もある。
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