血液型と各疾患の罹患率など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 04:56 UTC 版)
「血液型」の記事における「血液型と各疾患の罹患率など」の解説
各血液型ごとの各疾患の罹患率などについては、近年、大規模データを疫学的に正しく扱った科学的な研究が公表されるようになってきている。 2018年に公表された研究成果によると、日本の救命救急センターに運ばれた外傷性の重症患者の血液型別の死亡率は、O型患者で28.2%に対し、O型以外の患者では11.5%と、大きな差異が認められる。O型の血液凝固因子が他の血液型と比べて3割程度少ないことが理由と考えられている。逆に、このO型の血液が凝固しにくいことから、O型以外の血液型(つまりA型、B型、AB型)は、O型と比べて心筋梗塞で1.25倍、エコノミークラス症候群で1.79倍、リスクが高いことが(2008年時点で)報告されていた。 2020年に公表された研究では、新型コロナウイルスの重症化に関してO型は他の血液型に比べて保護的に作用している傾向にあることが報告されている。2021年、慶応義塾大学や東京医科歯科大学など複数の研究機関による重症化のメカニズムを調べる共同研究チーム「コロナ制圧タスクフォース」は、新型コロナウイルス感染症に感染した場合に重症化する割合について、血液型O型と比較してA型とB型は1.2倍、AB型は1.6倍重症化しやすいことを発表した。 2009年のBrian M. Wolpinの研究論文によると、膵癌に関して、B型はO型に比べると1.72倍リスクが高い。 A2型インフルエンザにおいて、O型の人がA型の人と比べて1.2倍ほど多く罹患し、死亡率も他の血液型の人と比べて高いという報告がMcDonaldとZuckermann(1962)によりなされた。 血液型別罹患率の研究史 古畑種基は、知人にツベルクリン検査が(BCGを)何度やっても陽性にならないという人がいたが、その人はABO式のB型で、後日結核菌がB型抗原の一部(人間のB抗原のうちBIがなく、BII・BIIIのみ。)を持つことが分かったところ、古畑は、「結核菌にBII・BIIIの抗原があるならば、B型の人は元々それがあるので、それに対する抗体ができない(結核菌独自のX抗原ならB型でも抗体ができる)のでツベルクリンの反応が悪いのだろう」と考えたが、これは古畑の個人的な当て推量の域を超えなかった。 2000年にNatureに掲載された総説は(まだ)「胃腸管に関するいくつかの形質に弱い相関が確認できるが、血液型と疾患の相関については再現性よく示されたものはない」というものにすぎなかった。 その後の研究で、ようやく血液型の健康面(ストレス抵抗性や病気のリスク)への影響がある、という報告が現れ始めた。2011年にソウルベンチャー情報大学院大学の金らが4000人以上の成人の脳波を測定した。2006年9月から2009年12月までに韓国精神科学研究所に脳波測定を依頼した成人(20歳~59歳の4636人)のデータを分析した結果、O型は他の血液型に比べて注意指数や抗ストレス指数が有意に高かった。
※この「血液型と各疾患の罹患率など」の解説は、「血液型」の解説の一部です。
「血液型と各疾患の罹患率など」を含む「血液型」の記事については、「血液型」の概要を参照ください。
- 血液型と各疾患の罹患率などのページへのリンク