著作権法の罰則規定や刑法との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 03:27 UTC 版)
「映画の盗撮の防止に関する法律」の記事における「著作権法の罰則規定や刑法との関係」の解説
本法律は著作権法の特別法として著作権法30条1項(および同項に基づいた刑事罰の適用除外)を適用除外するのみであり、著作権法や刑法に対するその他の特別規定をもたない。したがって、盗撮行為に対する刑事罰の適用は著作権法および刑法に基づいて判断される。 著作権侵害の罪(著作権法119条1項)は親告罪であったが(著作権法123条1項)、「TPP関連法案国会審議」に基づく同法の改正案が可決成立し、著作権法における非親告罪化規定が、TPP11協定発効日である2018年(平成30年)12月30日から施行される事が決定した。これによれば、所定の要件(対価として財産上の利益を受ける目的または著作権者等の得ることが見込まれる利益を害する目的、原作のままの映画の複製物を公衆に譲渡し または原作のままの映画の公衆送信を行うために、映画を盗撮する)が認められる場合には告訴権者の告訴は不要となる。一方、この所定要件を満たさない盗撮行為(純粋に私的使用目的と認められる場合など)は依然として親告罪のままである。 親告罪適用の場合は、本法律の適用によって成立する著作権侵害の罪も親告罪であり、著作権者による告訴がなければ、検察官は公訴を提起できない。ただし、告訴はあくまでも公訴の要件であって、捜査開始の要件ではないため、盗撮者が現行犯逮捕される可能性があり、また刑事訴訟法213条に基づき、民間人である映画館の職員が盗撮者を私人逮捕する可能性も指摘されている(ただし、現行犯逮捕、私人逮捕とも刑事訴訟法上の要件を満たさなければ成らない)。 著作権法には両罰規定(124条1項1号)もあるため、法人の代表者や従業者などがその業務として盗撮をした場合には、盗撮者のほか、その法人も刑事罰(3億円以下の罰金)の対象となる。 盗撮に使用されたビデオカメラなどの撮影用機器や、盗撮によって作成されたビデオテープなどの複製物は没収の対象になる(刑法19条1項)。また、著作権法には未遂を罰する規定がないため、盗撮未遂は罰しない(刑法44条)。
※この「著作権法の罰則規定や刑法との関係」の解説は、「映画の盗撮の防止に関する法律」の解説の一部です。
「著作権法の罰則規定や刑法との関係」を含む「映画の盗撮の防止に関する法律」の記事については、「映画の盗撮の防止に関する法律」の概要を参照ください。
- 著作権法の罰則規定や刑法との関係のページへのリンク