若ノ鵬の大麻所持事件
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「大相撲力士大麻問題」の記事における「若ノ鵬の大麻所持事件」の解説
間垣部屋の当時前頭筆頭の幕内力士若ノ鵬寿則が、2008年6月24日に東京都墨田区錦糸町の路上で落とした財布の中にあったロシア製のたばこに、大麻成分を含んだ植物片0.368グラムが入っていたとして、同年8月18日に警視庁組織犯罪対策第五課は若ノ鵬を大麻取締法違反(所持)の疑いで逮捕した。若ノ鵬は取調べで容疑を認め、その後の家宅捜索の結果で、間垣部屋や若ノ鵬の自宅から吸引用パイプなどが発見された。若ノ鵬は逮捕時(8月18日)は20歳であったものの容疑事実の発生時(6月24日)は19歳でまだ未成年者であり、少年法の精神からは匿名報道が原則とされるが、「現役の幕内力士であり社会的影響が大きい」等の理由により多くのメディアが実名で報道した。 当時の日本相撲協会理事長だった北の湖敏満は、逮捕当日に緊急で記者会見を開き謝罪文を読み上げた。そして、8月21日の緊急理事会で、若ノ鵬を解雇することを決定した。現役力士に対して解雇の処分が下されるのは初めてであった。若ノ鵬の師匠の間垣親方は理事職を引責辞任した。 事件の背景には、協会および師匠である間垣の「指導不足」があったとされる。素行の悪さは従前から指摘されていたものの「未熟さをたしなめる人が身近にいなかった」。師匠も、若ノ鵬が間垣部屋での暮らしとは別にマンションの部屋を借りていたことを把握していなかったと述べている。 その後、大麻取締法の起訴の基準となる所持量に達していないこと、容疑者が初犯で容疑を認めていること、社会的な制裁を受けていることを考慮し、東京地方検察庁は若ノ鵬を処分保留のまま釈放し、9月12日には起訴猶予処分とした。 8月末に発表された2008年9月場所の番付には、若ノ鵬は東前頭8枚目に掲載される予定だったが、番付から削除され、若ノ鵬の名前が入る部分は空欄となった。 若ノ鵬は2008年9月11日、相撲協会を相手に解雇処分は無効として力士としての地位確認を求める訴訟の提起と仮処分の申請を東京地方裁判所に行った。訴訟については同年10月27日に第1回の口頭弁論が開かれ、相撲協会側は全面的に争う姿勢を示した。一方、仮処分の申請については同年10月30日に東京地裁が却下、若ノ鵬側はこれを不服として東京高等裁判所に即時抗告を行ったが、12月9日にこれも却下された。これを受けて若ノ鵬は2009年2月に訴訟を取り下げ、ロシアへ帰国した。
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