花珠の現在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/01 02:42 UTC 版)
民間で花珠の判定をしている会社は、真珠科学研究所、真珠総合研究所など数社存在しているが、業界の統一基準はないので、会社ごとに独自の鑑定基準を設けての判定を行っている。専門家の間では、それらの会社の花珠の判定基準は以前の真珠業者が言っていた判定基準よりも数段下である、と認識されている。理由は前段の通りである。 1996年頃以降の、感染症によるとおもわれるアコヤガイの大量死をきっかけに、アコヤガイの品種改良に拍車がかかった。従来の人工採苗によるアコヤガイの生産は、大珠とよばれる9ミリ以上の真珠をつくるために、成長の良い大きなアコヤガイを作り上げることを主な目的としていたのである。長年の掛け合わせで日本のアコヤ貝の耐性が落ちたのではないかという反省もあり、中国産のアコヤガイとの掛け合わせが試みられた。その貝のことを生産者は「ハーフ」と呼んでいる。「ハーフ」の特徴は高水温に強く、大量死の原因となった感染症にも強い、ということである。また、従来の日本のアコヤ貝とは性質が違うために、いままで行われてきた養殖経験が適用しづらいという欠点がある。「ハーフ」から生まれる真珠はイエロー系の珠が多いとされ、花珠の出現率は低い。そのため、日本のアコヤガイの使用を継続する業者も存在する。また、真珠の品質は施術時に核と一緒に挿入される外套膜の切片に左右されるため、外套膜を使用するアコヤガイに特別なアコヤガイを使うという手法もとられる。 最近、真珠市場で花珠を求める声が多くなってきているという。消費者が花珠を求めるのは、良い品質を求めているからであろう。鑑別会社は、客観的な基準がなかった真珠業界にあって、必然的に生まれたといえる。 花珠は最高品質の真珠を示す一つの基準であることは間違いないが、真珠は花珠でなければならないという行き過ぎた花珠信仰は、本来の真珠のマーケットを狭めているといえる。
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