航空会社専用システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/12 02:29 UTC 版)
「IBMメインフレーム用オペレーティングシステムの歴史」の記事における「航空会社専用システム」の解説
航空業界は1950年代に急成長していたが、数千件の予約をカードファイルを使って手作業で裁く手間による物理的な制約があったため伸び悩んでいた。IBMは1957年にコンピュータ予約システムを開発する契約をアメリカン航空と結び、後にこのシステムをSABREと名付けた。1960年にテスト版の稼働を開始し、1964年に全ての予約業務を引き受けるようになり、このプロジェクトでは最初から一貫してIBM 7090メインフレームが用いられた。IBMは1960年代初期には他の航空会社とも同様のプロジェクトを開始し、すぐにSystem/360用の共通予約システムであるPARSを開発することを決めた。 SABREや初期バージョンのPARSにはアプリケーションとOSの区別がなかったが、IBMは1968年にアプリケーション部分のPARSとOS部分のACPに分割した。その後ACPはACP/TPFに改名され、また航空業界以外の業界向けに大量のオンライントランザクションを裁けるOSとしてTPF (Transaction Processing Facility)の名前で提供した。最新バージョンはz/TPFという名前になっている。 IBMの汎用OS(DOS/360やOS/360)は1960年代中盤までバッチ処理に特化しており、大量の短いトランザクションを高速に捌くことができず、汎用OSで動作するトランザクションモニタのIMSやCICSであっても、数百便のフライトの予約を数千の旅行代理店から受け付けるのに十分な処理速度がなかったことから、IBMはACPやその後継版を開発した。 最後のパブリックドメイン版であり無料版のACPはACP 9.2で、1本のミニリールテープで配布され、48インチ幅の棚一列がいっぱいに埋まるほどの数十冊のマニュアルが付属し、IBM 3340のディスクドライブに展開でき、ACPシステムの全機能が完璧に動作する形で提供された。 ACPはマスターカード®などの銀行発行カードや、金融機関向けのアプリケーションを主なユーザーとして想定していたが、航空業界用の予約システムにも利用でき、当時としてはACPは多目的な汎用OSだった。 プログラムの開発や、オンライン経由で並行してファイルをメンテナンスしたりするのに使える、VS1という(必要であればVS2も可能な)バーチャルOSをゲストとして利用できるハイパーバイザーモジュール(CHYR)が後期のACPに統合され、まさに汎用的なOSだった。 一部では本番環境もハイパーバイザーモードのVS2で運用され、IMS DBも搭載されることがあった。
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