脱北者の駆け込み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 05:47 UTC 版)
中華人民共和国にある日本人学校が頭を悩ませているのは、難民認定と亡命を求めた北朝鮮の脱北者の駆け込み事件である。北京日本人学校は大使館と異なり治外法権を持っていないにもかかわらず、2003年から2005年の間に計5回、合計56人の脱北者が侵入した。関心が北京に行っている間に、大連の日本人学校でも同様の駆け込みが計画されたが未遂に終わっている。 北京日本人学校はまず在北京日本大使館に連絡を取り、脱北者は大使館に引き取られて、その大部分が韓国への亡命を果たしている。中華人民共和国は脱北者を「不法入国者」として北朝鮮に返す協定を北朝鮮政府と結んでいるため、この様な日本人学校の対応に非常に不満を持っている。 2003年に日本人学校が増設許可を申請したところ、その見返りに外交関連施設として優遇措置を受けていた立場から、中国共産党政府が直接介入できる一般校へ1年以内に登記変更するように要求されたり、「校長が脱北者の身柄を日本大使館でなく現地の警察に即時に引き渡さなければ、警察は日本人学校の安全を保証できない」と脅迫に近い通告をしている。 日本国内の世論は、「危険を冒して逃げてきた者なのだから門前払いをせず校内で匿うべきだ」という意見と、「大使館ならまだしも治外法権のない日本人学校に駆け込む者は法律に従って中華人民共和国側に引き渡すべきだ」という意見に分かれる。実際に日本人学校に通う子供、その保護者、また子供達を預かる側の日本人学校にとっては、切羽詰った脱北者や中華人民共和国の公安当局が校内で武力行使することも考えられ、何事も安全を第一に行動しなければならない。学校はセキュリティーを強化し、警備員を増員し、脱北者侵入を想定した避難訓練も行い、不審者侵入に非常に神経をすり減らしている。実際に判断をし責任を取るべきである日本国の特命全権大使ではなく、その様な責任を与えられているわけではない一学校の校長に、日中関係を左右するような判断と責任がつきつけられているのは理不尽であるという意見が多い。
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