脱北者の社会適応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 06:01 UTC 版)
多くの脱北者の受け入れ先である韓国では、1997年7月14日に制定された「北韓離脱住民の保護及び定着支援に関する法律」と言う法律があり、脱北者の生活支援を行っている。彼らは、まずハナ院(하나원、北韓離脱住民定着支援事務所)と呼ばれる教育施設に収容され、資本主義社会の習慣を教授する。その後数週間から数か月程度で一般市民と変わらない生活に移行する。 彼らの多くは北朝鮮出身者のコミュニティを形成し、新しい亡命者の手助けをしている者もいる。その中で、韓国社会で目覚しい活躍をする者もいる一方、目標を自ら設定する資本主義社会に馴染めず、暴走族などの非行に走る者もいる。また北朝鮮で要職、高位にいた脱北者は常に暗殺の危険に晒され、改名や整形手術を余儀なくされる者もいる。 加えて、韓国で住民登録を行うときは、漢字名も決める必要がある。北朝鮮は、建国後、日常生活から漢字の完全な廃止や族譜作成の禁止を行った。そのため、多くの脱北者は、自分の名前を漢字で正確に表すことや、自分の祖先が誰であるかを知ることができない。チョン(鄭または丁)やシン(辛または申)などのように、北朝鮮では、漢字廃止の結果、同音異字の姓がいくつか現れたからである。 韓国政府は2005年より脱北者に入国審査を厳しくする旨を発表した。これは脱北者の中に北朝鮮で政治的ではない重罪を犯した人間が含まれているからとしているが、年々増える傾向の脱北者支援は既に韓国の財政を圧迫し始めているため、とも言われる。社会適応に対する社会的支援は韓国の課題となっている。
※この「脱北者の社会適応」の解説は、「脱北者」の解説の一部です。
「脱北者の社会適応」を含む「脱北者」の記事については、「脱北者」の概要を参照ください。
- 脱北者の社会適応のページへのリンク