脚本のリライト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 15:18 UTC 版)
脚本家のスティーブン・E・デ・スーザは、アクションとコメディを合わせた経験を持ち、スチュアートの脚本を書き直した。彼はグルーバーが主人公であるかのようにアプローチした。「もし(グルーバーが)強盗を計画し、実行に移さなければ、(マクレーンは)ただパーティーに行って、妻と和解するだけだっただろう。本当に物語を動かしている悪役の視点を通して、自分の作品を見ることを時々考えるべきだ」。デ・スーザは、フォックス・プラザの設計図を使って、物語やキャラクターのロケーションを建物内にレイアウトした。 脚本は撮影前から撮影中まで変更が続いた。撮影開始の最初の数週間は、まだウィリスの『こちらブルームーン探偵社』の撮影が行われていたため、彼はその撮影を最大10時間行い、夜に『ダイ・ハード』の撮影をするという生活を送ることになった。マクティアナンはウィリスに休養する時間を与え、その代わりデ・スーザに新しいシーンの追加を任せ、マクレーン以外の登場人物の設定や描写が膨らまされることになった。例えばホリーの家政婦のシーン、高木の死後にグルーバーと対峙するホリーのシーン、ソーンバーグの紹介シーン、パウエルと仲間の警官たちのシーンなどである。 シルバーは映画の途中でマクレーンとグルーバーが出会うシーンを入れたいと考えていたが、デ・スーザは、そのための上手いシナリオが思いつけずいたところ、たまたまリックマンがアメリカ訛りの英語を話すところを耳にした。これによってグルーバーがマクレーンと会うときに正体を隠せると考え、マクレーンが彼だとわからないように高木の殺害シーンは撮り直された。また、このマクレーンとグルーバーが出会うシーンの追加によって、マクレーンがテオを殺す別のシーンは削除された。 スチュアートの元の脚本では、物語は3日間にわたるものであったが、マクティアナンはシェイクスピアの『真夏の夜の夢』に触発されて、一晩で終わる物語に変えた。また、彼はテロリストを悪役にするのは「あまりにも悪辣」だと考え、テロリストの政治性に焦点を当てるのを避け、金銭的な追求を目的とした強盗にし、その方が夏の娯楽にふさわしいという狙いもあった。 マクレーンのキャラクターが完全に確立したのは、製作のほぼ半分を過ぎた頃であった。マクティアナンとウィリスは、「マクレーンは、自分のことをあまり好きではないが、最悪の状況で最善を尽くす男」と決めた。マクレーンのキャッチフレーズ「イッピカイェイ、マザーファッカー(Yipee-ki-yay, motherfucker)」は、カウボーイ俳優ロイ・ロジャースの「Yippe-ki-yah, kids」をはじめとする古いカウボーイ用語を基にしたものであり、マクレーンの古いアメリカ人キャラを強調したものであった。「Yippee-ki-yay, motherfucker」と「yippee-ti-yay, motherfucker」のどちらを使うかの議論もあったが、ウィリスが前者を支持した。
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