育児参加が祖父母に与える影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/08 07:16 UTC 版)
「祖父母」の記事における「育児参加が祖父母に与える影響」の解説
孫たちの面倒を見るという務めは、時として、常にエネルギーと時間を投じ続けることが求められる、極めて重い負担となり、子育てに関わる祖父母たちの身体的、精神的健康に、否定的な影響を及ぼすことがある。例えば、育児は、通院の機会を奪うなど、祖父母たちが自分たちの健康管理に投じる時間を削減する。このため、祖父母たちは身体的健康問題を抱えるおそれが大きくなる。アメリカ合衆国では、孫の育児に関わっていない祖父母たちと比べ、関わっている祖父母たちは、心臓病、高血圧、身体の痛みなど、健康状態の面が劣っている。身体的健康の問題とは別に、感情的な面でも、問題が生じやすい。より具体的には、幼い子どもたちの子育てに再び取り組むことは、ストレスの多い、圧倒されるような経験となることもあり、不安や抑うつといった、様々な否定的感情を生じさせる。身体的、感情的な諸問題に加え、孫たちの育児に関与している祖父母たちは、社会的にも問題を抱えやすい。孫たちの面倒を見るとなれば、例えば、社会活動への参加に使える時間は限られてくる。その結果、祖父母たちは、社会関係から隔離されて孤立化することになる。育児への参加は、より大きな責任を負うことも意味するが、祖父母たちは、自分たちの能力が衰えて面倒を見れなくなったり、自分たちが死んでしまった後の、孫たちの将来の幸福に、恐れをもつことになりがちである。もし、祖父母たちが育児の担い手としての役割を手際よく果たせなくなれば、それは重荷となり、ストレスの原因となって、ついには、より深刻な身体的健康や感情面の問題を招くことになる。 しかし、孫の育児への関与には、肯定的な効果もある。孫たちの子育てに関わっていない祖父母たちに比べ、長時間にわたり育児の関わっている祖父母たちは、認知能力が優っている。具体的には、孫の子育てをする高齢の祖父母たちは、高齢になっても精神面の能力を保ちやすく、認知症などの病気の進行も比較的少ない。さらに、孫との頻繁な接触は、認知能力における老化を遅らせ、より活き活きとした、活動的な人生を送る可能性を広げる。また、孫との接触は、身体を動かす機会となるという利点もある。 孫たちの子育てへの関与は、感情面の健康においても、祖父母たちに好ましい影響がある。例えば、多くの祖父母たちは、子育てによって退職後の人生に目的や意義を感じ始めるし、成人した自分の子どもたちとの絆も、孫たちとの絆も深められる。多くの祖父母たちは、孫たちを育児する経験を、かつて自分の子どもたちの育児のときにおかした失敗を取り戻し、孫たちにより良い教育の機会を与え、より良い形で子育てをする機会として、肯定的に捉えている。
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