職歴と研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/19 06:31 UTC 版)
大学卒業後の1966年にAT&Tのベル研究所へ就職。1960年代当時、べル研ではトンプソンとデニス・リッチーがMulticsシステムの計画に参加していた。トンプソンはMulticsの開発中にプログラミング言語のBonを開発した。またスペース・トラベルというビデオゲームも開発した。その後ベル研はMulticsから撤退。ゲームを遊び続けるため、トンプソンは古いPDP-7を発掘してスペース・トラベルを作り直した。このときトンプソンが開発したツールがUnixになった。PDP-7を使い、トンプソンとリッチーが主導するベル研のチームは、ラッド・カナディと共に、階層型ファイルシステム、プロセス、デバイスファイルの概念を発明し、コマンドライン、プロセス間通信を容易にするパイプ、複数の小さなユーティリティプログラムを開発した。 1970年にブライアン・カーニハンの提案で、MulticsからのダジャレであるUnixという名前になった。初期のUnixが完成すると、トンプソンはシステム開発向けの言語が必要だと考えるようになり、B言語を開発し、それを元にしてリッチーがC言語を開発した。 1960年代に正規表現を開発。CTSS上で動作するテキストエディタのQEDを開発し、文字列の検索に正規表現を使うことができた。QEDと、後に開発したUnixの標準エディタedは正規表現の普及に大きく貢献した。以降に開発されたほぼ全ての正規表現プログラムはトンプソンの表記法がベースとなっている。以前は理論言語学者など限られた間での専門的な記法であった正規表現(日本ではそういった専門分野では正則表現と訳すことがある)は、コンピュータのユーザに身近な頻用されるものとなった。またマッチングを高速化するため、正規表現を非決定性有限オートマトンに変換する「トンプソンの構築アルゴリズム」を発明した。
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