絵画盗難事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 03:13 UTC 版)
「イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館」の記事における「絵画盗難事件」の解説
1990年3月18日早朝、ボストン警察を装った二人組の強盗がギャラリーに押し入り、13点の美術品を奪い去った。盗難に遭ったのは全世界に34作品しかないともいわれるフェルメールの『合奏』、『ガラリアの海の嵐』(レンブラントが描いた唯一の海洋絵画)、『自画像』などレンブラントの作品3点、ドガのドローイング5点、マネの『トルトニ亭にて』、かつてレンブラント作と思われていた風景画、古代中国の杯、ナポレオン・ボナパルトの軍旗の先端についていた鷹の彫刻である。展示品の位置を変えないこと、というイザベラの遺言に従い、現在でも盗難された絵画への敬意と将来的な返還を願って、空の額がもとのままに壁にかけられている。 盗難された美術品はいずれも見つかっておらず、これらの美術品の総価値は5億ドルとも言われている。捜査は2011年現在でも行われており、連邦捜査局 (FBI) の盗難美術品専門部局における最優先課題になっている。イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館は盗難美術品発見につながる情報に500万ドルの懸賞金を提示している。 1990年代にアイルランド共和軍 (IRA) への武器密売に関係していたボストンマフィアのボス、ホワイティ・バルジャーの部下二人が、盗難絵画の隠し場所を知っていると語ったことがある。しかし、そのうち一人は既に死去しており、もう一人は捜査官への証言を拒み続けている。IRAは1974年にもダブリン郊外のラスボロー・ハウス (en:Russborough House) からフェルメールの作品を含む絵画19点を強奪し、絵画の返還と引き換えに服役しているIRAのメンバー4人に対する交渉に使おうとしたことがあった。 2005年に制作された『消えたフェルメールを探して』はイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館の美術品盗難事件を扱った映画で、過去に同じテーマで制作放映されたコートテレビ(Court TV)の作品内容とは多少相違がある。他にも2021年公開のNetflixのテレビシリーズ『ガードナー美術館盗難事件 消えた5億ドルの至宝』があり、またCNBCのテレビシリーズ『アメリカングリード』やテレビアニメ『ザ・シンプソンズ』のエピソードに使われるなど、複数の映像作品で取り上げられている。 2013年、犯人は中部大西洋岸諸州とニューイングランドを拠点とする犯罪組織のメンバーであること、盗難後、絵画はコネチカットとフィラデルフィア方面に移送され、10年ほど前に売りに出されたことがあることなどをFBIは正式に発表した。現在も絵の行方は判明しておらず、美術館は通報者に対して500万ドルの報奨金を用意し、引き続き協力を求めている。
※この「絵画盗難事件」の解説は、「イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館」の解説の一部です。
「絵画盗難事件」を含む「イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館」の記事については、「イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館」の概要を参照ください。
- 絵画盗難事件のページへのリンク