経皮的心肺補助装置(PCPS)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 09:04 UTC 版)
「人工心肺装置」の記事における「経皮的心肺補助装置(PCPS)」の解説
経皮的心肺補助装置(けいひてきしんぱいほじょそうち、英: Percutaneous CardioPulmonary System, Percutaneous cardio pulmonary support; PCPS)は、主に急性期の心肺補助に使用される人工心肺装置である。その名のとおり注射針のように皮膚を貫いて血管にカニューレ Cannula(送血管と脱血管)を挿入するのが特徴である。また、血液回路も非常に単純であるため数分間で準備し装着することができ、心原性ショックの蘇生手段として用いる場合もある。PCPSでは、大腿動静脈から送脱血を行い、血液は遠心ポンプから人工肺でO2ガスが加えられ、大腿動脈→腹部大動脈→胸部大動脈へと逆流する。そのため、PCPSが使用される多くの患者で多少でも自己心が動いている場合は、順行性に上行大動脈→全身へと血液が送られており、自己心由来の血液とPCPSの血液は腎動脈分岐付近で2つの灌流がぶつかることとなる、非常に非生理的な血行動態となる。PCPSは、重症冠動脈疾患症例の経皮的冠動脈形成術 (PTCA) 施行時の循環補助や、呼吸不全における呼吸補助、重症心不全症例に対して適用されるが、左室の負荷を軽減できないことが決定的な弱点となる。また、PCPS装着の遅延により心肺機能が回復しても多臓器に影響を残すこととなるため、適用基準を設けている。 海外ではPCPSではなくECMO(エクモ、英: extracorporeal membrane oxygenation、体外式膜型人工肺)と呼ばれている。 日本ではPCPSとV-A ECMOがほぼ同義で、日本でECMOという時はV-V ECMOを指すことがほとんど。 詳細は「体外式膜型人工肺」を参照 適用病態 体外循環離脱困難症 術後低心拍出量症候群(LOS)難治性不整脈を含む 急性心筋梗塞後心源性ショック 心筋炎による低心拍出量症候群 重症冠動脈疾患症例のPTCAの施行時 呼吸不全に対するECMO 判断基準 主徴:左心不全 心係数(成人)<2.0ℓ/min/m2(小児)<2.3ℓ/min/m2、収縮期動脈圧<80 - 90mmHg、左心房圧>18mmHg、 右心不全 心係数(成人)<2.0ℓ/min/m2(小児)<2.3ℓ/min/m2、収縮期動脈圧<80 - 90mmHg、中心静脈圧>18mmHg、左心房圧>5mmHg 副徴:尿量<0.5mℓ/kg/h、混合静脈血酸素飽和度<65%、動脈血酸素含量較差>7.0Vol%
※この「経皮的心肺補助装置(PCPS)」の解説は、「人工心肺装置」の解説の一部です。
「経皮的心肺補助装置(PCPS)」を含む「人工心肺装置」の記事については、「人工心肺装置」の概要を参照ください。
- 経皮的心肺補助装置のページへのリンク