終声について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 12:14 UTC 版)
「パッチム」も参照 終声として用いることのできる子音字母は、ㄸ dd,ㅃ bb,ㅉ jjを除いた16個である。また、朝鮮語の形態音素表記のために、終声では2つの子音字母を左右に組み合わせる(二重終声、二重パッチム)ことがある。正書法で認められている組み合わせは、ㄳ gs,ㄵ nj,ㄶ nh,ㄺ lg,ㄻ lm,ㄼ lb,ㄽ ls,ㄾ lt,ㄿ lp,ㅀ lh,ㅄ bsの11種類である。これらの二重終声は、語末の場合や後に子音の続く場合、基本的にㄺ・ㄻ・ㄿは右側を、それ以外は左側を発音するが、ㄼのみはㄹと発音する語とㅂと発音する語がある。 終声は二重終声を含めると表記上は合計27種類あるが、発音としてはㄱ・ㄴ・ㄷ・ㄹ・ㅁ・ㅂ・ㅇの7種類しかない。それにもかかわらず激音字母や濃音字母などを終声に用いたり、二重終声を用いるなど様々に書き分ける理由は、主に形態素を明示するためである。形態素を明示するために前述の7種類以外の終声字母(二重終声含む)を用いるケースは、具体的には、大きく次の3パターンに分けられる。 語幹末音の直後に母音が来ることによって、語幹末音が初声として発音される場合は激音や濃音、ㅅやㅈなどの音として現れるが、語幹末音が終声として発音される場合には平音ㄱ・ㄷ・ㅂに中和される。 語幹末に子音が2つ連続している場合、語幹末の子音が初声の位置に立つときは連続する2つの子音が両方とも現れるが、語幹末の子音が終声の位置に立つときは2つの子音のうち一方が脱落する。 接尾辞・語尾の頭音の平音が激音で現れる用言の場合。 1.は終声ㅅ・ㅈ・ㅊ・ㅋ・ㅌ・ㅍ・ㄲ・ㅆが該当し、例えば옷[옫]-옷이[오시]、밭[받]-밭에[바테]、밖[박]-밖에[바께]といった具合に、直後に母音が来たときに次の音節の初声として発音される音を示す。 2.は二重終声のうち9種(ㄳ・ㄵ・ㄺ・ㄻ・ㄼ・ㄽ・ㄾ・ㄿ・ㅄ)が該当し、例えば넓다[널따]-넓어[널버]、삶[삼]-삶이[살미]といった具合に、直後に母音が来たときに終声として発音される音と、次の音節の初声として発音される音の両方を示す。ただし、ㄳ・ㅄの場合は、実際の発音変化が[넉]-[넉씨]、[갑]-[갑씨]となるので、本来ㄱㅆ・ㅂㅆと書くべきと考えられるところを、これでは表記が煩雑なので、終声ㄱ・ㅂの次に来る初声ㅅは濃音ㅆで発音されることから便宜上表記をㄳ・ㅄ(넋[넉]-넋이[넉씨]、값[갑]-값이[갑씨])としている。 3.はㅎ・ㄶ・ㅀが該当し、実際の発音変化が[조아]-[조코]、[마나]-[만치]、[구러]-[굴타]のようになる場合で、 第1の例では아が後続したときは語幹の次の音節に子音が現れないのに対して、고が後続したときに激音の코として発音されている。 第2の例では아が後続したときは語幹のㄴが初声で発音されるのに対して、지が後続したときは激音の치として発音されている。 第3の例では어が後続したときは語幹のㄹが初声で発音されるのに対して、다が後続したときは激音の타として発音されている。 このような場合、それぞれ語幹を조・만・굴と書いたのでは、そのまま続けて고・지・다など平音の字を書いたときに激音化が表現できない。そこでこのようなケースにあっては、便宜的に語幹末のㅎを想定して終声をㅎ・ㄶ・ㅀと表記し、좋아[조아]-좋고[조코]、많아[마나]-많지[만치]、굻어[구러]-굻다[굴타]といった具合に、平音が後続した場合は平音とㅎが融合して激音で発音すると考える一方、母音が後続して新たに子音が現れない場合は、そのㅎがあたかも他の終声と同様にいったん初声となった上で語中なので聞こえなくなっている(そして単語によっては二重終声の左側であるㄴ・ㄹが初声化している)と見なしたような(좋아→[조하]→[조아]、많아→[만하]→[만아]→[마나]、굻어→[굴허]→[굴어]→[구러]と見なしたような)書き方となる。つまり激音化を表現するためにㅎを終声に利用するのである。 音価終声字複合終声字前後ㄱ ㄱ, ㅋ, ㄲ ㄳ ㄺ ㄷ ㄷ, ㅅ, ㅆ, ㅈ, ㅊ, ㅌ, ㅎ ㅂ ㅂ, ㅍ ㅄ (ㄼ), ㄿ ㄹ ㄹ ㄼ, ㄽ, ㄾ, ㅀ, (ㄺ) ㄴ ㄴ ㄵ, ㄶ ㅁ ㅁ ㄻ ㅇ ㅇ
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