細胞膜透過
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:43 UTC 版)
核酸医薬のようなオリゴヌクレオチドは細胞にとって不要であるため細胞内への移行は大きく制限されると考えられている。一般的にオリゴヌクレオチドを含める高分子は主にエンドサイトーシスによって取り込まれる。よく知られた核酸医薬のエンドサイトーシスに関わる受容体を下記のようにまとめる。 受容体リガンド細胞MSR1 PO DNA マクロファージ、樹状細胞 MAC-1 PS DNA 多核白血球、マクロファージ、樹状細胞 MANB calf thymus DNA マクロファージ、B細胞 DEC-205 PS CpG DNA 胸腺上皮細胞、樹状細胞 AGER PS/PO CpG DNA マクロファージ、内皮細胞 MRC1 PS CpG DNA マクロファージ、樹状細胞 stabilin-1,2 PS DNA 培養細胞 細胞内移行後も細胞膜を通過していないため、オリゴヌクレオチドが細胞質や核に移行する可能性は非常に低い。一般的にエンドサイトーシスによって取り込まれた分子はエンドソームへ輸送され、その後、加水分解酵素を含むリソソームへ輸送され、分解される。膜透過性の乏しい活性分子の透過性改善を目的としてDDSの分野では様々な方法が提唱されている。その多くは核酸医薬に対しても適応されている。その一例としてはコレステロールなどの脂溶性化合物を利用した修飾があげられる。これは、水溶性高分子である核酸医薬の疎水性を増大することで、細胞膜との相互作用を高め、結果的に細胞膜を介する輸送効率を高めることを目的としたものである。コレステロールの他には膜透過ペプチドや正電荷を有するアルギニン誘導体などを結合させる方法やリポソームなどの脂質微粒子やポリカチオンなども開発されている。核酸と細胞膜との相互作用の増大と膜構造不安定化により、核酸医薬の膜透過性改善は実現可能と考えられている。 細胞膜の透過に関しては一本鎖のアンチセンス核酸と二本鎖のsiRNAでは異なる点がある。アンチセンス核酸の場合は培養細胞の実験の場合は数100nMまで濃度を挙げると細胞内に取り込まれるが、二本鎖のsiRNAは取り込まれない。またアンチセンス核酸はGapmer型アンチセンスでもスプライシング制御型アンチセンスであっても核内で機能するため核膜を通過する必要がある。siRNAは細胞質で作用するため核膜を通過する必要はない。
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細胞膜透過
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 15:09 UTC 版)
核酸医薬のようなオリゴヌクレオチドは細胞にとって不要であるため細胞内への移行は大きく制限されると考えられている。一般的にオリゴヌクレオチドを含める高分子は主にエンドサイトーシスによって取り込まれる。よく知られた核酸医薬のエンドサイトーシスに関わる受容体を下記のようにまとめる。 受容体リガンド細胞MSR1 PO DNA マクロファージ、樹状細胞 MAC-1 PS DNA 多核白血球、マクロファージ、樹状細胞 MANB calf thymus DNA マクロファージ、B細胞 DEC-205 PS CpG DNA 胸腺上皮細胞、樹状細胞 AGER PS/PO CpG DNA マクロファージ、内皮細胞 MRC1 PS CpG DNA マクロファージ、樹状細胞 stabilin-1,2 PS DNA 培養細胞 細胞内移行後も細胞膜を通過していないため、オリゴヌクレオチドが細胞質や核に移行する可能性は非常に低い。一般的にエンドサイトーシスによって取り込まれた分子はエンドソームへ輸送され、その後、加水分解酵素を含むリソソームへ輸送され、分解される。膜透過性の乏しい活性分子の透過性改善を目的としてDDSの分野では様々な方法が提唱されている。その多くは核酸医薬に対しても適応されている。その一例としてはコレステロールなどの脂溶性化合物を利用した修飾があげられる。これは、水溶性高分子である核酸医薬の疎水性を増大することで、細胞膜との相互作用を高め、結果的に細胞膜を介する輸送効率を高めることを目的としたものである。コレステロールの他には膜透過ペプチドや正電荷を有するアルギニン誘導体などを結合させる方法やリポソームなどの脂質微粒子やポリカチオンなども開発されている。核酸と細胞膜との相互作用の増大と膜構造不安定化により、核酸医薬の膜透過性改善は実現可能と考えられている。 細胞膜の透過に関しては一本鎖のアンチセンス核酸と二本鎖のsiRNAでは異なる点がある。アンチセンス核酸の場合は培養細胞の実験の場合は数100nMまで濃度を挙げると細胞内に取り込まれるが、二本鎖のsiRNAは取り込まれない。またアンチセンス核酸はGapmer型アンチセンスでもスプライシング制御型アンチセンスであっても核内で機能するため核膜を通過する必要がある。siRNAは細胞質で作用するため核膜を通過する必要はない。
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