紙本墨画淡彩望海楼図とは? わかりやすく解説

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紙本墨画淡彩望海楼図

主名称: 紙本墨画淡彩望海楼図
指定番号 1939
枝番 00
指定年月日 1996.06.27(平成8.06.27)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書 永享七年惟肖徳巌の賛がある
員数 1幅
時代区分 室町
年代 1435
検索年代
解説文:  室町時代著明五山僧ひとりであった惟肖得巌いしようとくがん】(一三六〇-一四三七)が周文活躍期にあたる永享七年一四三五)に著賛しており、おおよそ制作期がわかるとともに周文様の絵画考えるうえで重要な作品である。
 画面上部の賛詩は「望海圖 題五絶」として五首の七言絶句書き末尾に「乙卯孟冬十有九日/蕉老衲得巌書七十六齢也」の記および「惟肖」の白文方印がある。ここにいう「望海」は、賛の第一によれば南宋時代に行都と称された淅江省杭州にあった重層楼閣をさしている。唐代には杭州湾岸に望海城が置かれ、また湾外出口の舟山列島定海望海縣とも望海鎮ともよばれていたのでこの名は日本人にもなじみの深いものであった
 絵の構図は、「竹斎読書図【ちくさいどくしよず】」(国宝 東京国立博物館)や「蜀山図【しよくざんず】」(重要文化財 静嘉堂文庫)に通ずるものがある。また画面右端の巨岩上の二本は「竹斎読書図」の、門前の三は「山水図水色巒光図【すいしよくらんこうず】)」(国宝 個人)や「蜀山図」のそれと姿を同じくしている。賛の第一首に「誰臨唐本作新図」とあるところから中国画をもとにしていることがうかがわれ周文様の成立考えるうえでも興味深い
 本図ある程度原本構成踏襲しているもののようで、類品中では山水楼閣規模大きい点に特徴がある。短い墨線を主体とした主峰皴法【しゆんぽう】は必ずしも的確とはいえないが、近景の岩に施された墨皴は滑らかで手慣れており、この時期詩画軸往々にして禅僧余儀的なものであるに対して本格的なのである点も推賞される。



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