筋萎縮性側索硬化症
原因不明の神経変性疾患です。ある特定の地域に多発するので金属(鉛、水銀、カルシウムなど)が発症に関係するのではないかと考えられていますが、まだ確証は得られていません。この病気の一部(5−10%)は常染色体優性遺伝をとります。遺伝子座は第21染色体長腕(21q22)にあってCu/Zn超酸化物不均化酵素(superoxide dismutase:SOD)遺伝子に変異がみられています。この酵素の働きは細胞内に発生し、細胞毒をもつスーパーオキシド(酸素分子O2に一個の電子が負荷されO2-となる)を消去するものです。神経細胞内に毒性物質が溜まるので、神経細胞の変性を来すのでしょう。遺伝性でない、多くの特発性のものも多分同じ病態があると考えられ、SODの研究が進んでいます。
大半は50歳以上で(平均65歳)で発症し、1−5年の経過で呼吸不全となります。筋力低下、筋萎縮は手から始まることが多く、物をにぎる力が弱くなったなどで気付かれます。舌や咽頭筋が強く侵されることもあり、そのときは物の飲み込みが悪くなります。全身の筋力低下が進み、手足に筋束性攣縮(fasciculation)をみます。
検査上は筋電図で神経原性変化をみる以外特別な診断的所見はありません。筋生検では萎縮した筋線維が束になっている群集萎縮(group atrophy)の像をみます。筋内の末梢神経もその髄鞘が脱落しています。神経病理学的には脊髄の外側にある側束(錐体路が走っています)の脱髄と脊髄前角細胞の脱落があります。治療法としてリルゾール(リルテック)が試みられていますが、まだ進行を止めるところまではいっていません。神経成長因子などが将来病気に有効となるだろうと、研究が進んでいます。
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