とどろき‐けいこく【等々力渓谷】
等々力渓谷
等々力渓谷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 07:08 UTC 版)
武蔵野台地は、水を通さない海成の粘土質層の上に水を通しやすい礫層が互層となった関東ロームに覆われた台地であり、台地上をはじめ多摩川に削られてできた崖線には多くの湧水がある。等々力渓谷はこの大量の湧水が台地を侵食してできた渓谷である。渓谷の谷底は等々力駅付近から下流の脇を遊歩道が整備されている。10mほどの急峻な両崖には武蔵野の雑木林が残って陰鬱として夏でも冷涼である。また、南側は戦国時代に深沢から移ってきたとされる満願寺の境内に隣接し、その別院の等々力不動尊は霊場として、湧水が流れ落ちる不動の滝に打たれる修行者が時折見られ、冬季を除いて茶屋も建ち、都内でも有数の憩いの場となっている。 等々力(とどろき)はその名の由来を、こうした湧水の流れ落ちる音写の「轟く」にちなむという説が有名であるが、元の満願寺の場所の兎々呂(とどろ)城からなど諸説ある。歴史上の記録よりもさかのぼった古来からこの渓谷は存在しており、渓谷崖には7世紀頃のものと考えられる横穴式の古墳なども見つかっている。 1931年(昭和6年)、等々力渓谷の西側の台地上に五島慶太による目黒蒲田電鉄開発経営の「等々力ゴルフコース」が開業したが、渓谷はこうした貴重な景観と史跡を数多く残すことから、1933年(昭和8年)に多摩川風致地区に指定され、護岸整備と遊歩道の整備に着手し1936年(昭和11年)に完成した。戦後は1974年(昭和49年)に横穴式古墳、等々力不動尊を含めた世田谷区立等々力公園として開園する。東京都区部では唯一の自然の渓谷であり、1999年(平成11年)には東京都指定名勝に指定され、その環境が保全されるとともに、渓谷沿いに散策道が整備された。 ただし、地下水の汲み上げなどにより、不動の滝や周辺からの湧水量は年々減ってきている。
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