第1楽章 Nocturne. Moderato
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/20 02:06 UTC 版)
「ヴァイオリン協奏曲第1番 (ショスタコーヴィチ)」の記事における「第1楽章 Nocturne. Moderato」の解説
ノクターン、イ短調、序奏部を伴う三部形式。 中間部の主題にはオクターブ内の12音がすべて現れており、ショスタコーヴィチが最晩年に用いた独自の十二音技法の先駆となっている。フルートが2つ休んでピッコロだけとなり、シロフォンはこの楽章では使われない。協奏曲の第1楽章に「夜想曲」を用いた例は非常に珍しい。しかし、この曲を協奏交響曲的なものと考えれば、ショスタコーヴィチは交響曲の第1楽章にしばしば穏やかな楽想を用いているので、特に目新しい書法というわけではない。 この夜想曲は導入部を持った三部形式からなり、全般的に沈鬱な色彩とムード的抒情性をたたえ、メロディーの半音階的構成は特徴的でもある。なお、ショスタコーヴィチの多くの交響曲同様、三部形式といっても形式感はかなりゆるやかかつ自由である。 夜想曲とはいえ、感情を厳しく制御した、思索的な音のする楽章を象徴するかのように低弦で重々しく4小節の序奏があると、独奏ヴァイオリンがその主題を模倣する。この主題は民謡といった従来の旋律から取られたものではなく、半音を巧みに使った非常に不定形のもので、導入部全体に渡る一つの無限旋律を形成し、理知的な進み方をしていく。また、15小節目以降に含まれる動機とその展開は、この楽章の骨格をなすものでもある。ちなみに、導入部前半の低弦の動き、24小節目よりあらわれるファゴットの使用は、交響曲第10番との類似を感じさせる。この導入部は、第1部の主要主題に発展し、かなり瞑想的な性格を帯びる。79小節目からの6小節の間はオクターヴ内の12の音が揃っている。 93小節から98小節にかけてヴァイオリンがC音を長く引く中にハープとチェレスタがピアニッシモで奏される効果は、ショスタコーヴィチの交響曲第5番の第3楽章の手法を髣髴とさせる。120小節で主要主題がフォルテの重音奏法でヴァイオリンに現れるが、これは一種の擬似再現の形で、導入部の要素と絡み合って発展する。142小節で第三部に入り、ほぼ第一部を繰り返しつつ、164小節以下のコーダに結びつく。弱音器を付けた弦楽器の和音の上で、同じく弱音器を付けた独奏ヴァイオリンが、先の無限旋律の続きを静かに続け、イ短調で消え入るように終わる。[要出典]
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