第二の狂人の物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「第二の狂人の物語」の解説
その狂人の若者は、装身具を商う商人の子で、非常に堅物で、16歳の頃は女性の誘惑を避けて商売の手伝いをしていた。ある日、美しい黒人の奴隷の少女が店に来て、若者に女主人から預かった恋文を渡した。若者は読むと、誘惑されたと思い怒り、恋文を破り捨て、使いの黒人の少女を殴り、追い返した。 それから数年後、若者が妻を娶るような年齢になったある日、5人の美しい白人女奴隷を従えた一段と美しい乙女が店に現れた。乙女は美しい足首を若者に見せてアンクレットを試し、腕を見せて腕輪を試し、首と胸をはだけて首飾りを試し、腰紐を試し、顔のベールを外してイアリングと髪飾りを試した。それぞれの部分を見る度に、若者はあまりの美しさに理性を失いそうになったが、店には相応しい装身具はなかった。しかし、乙女は試すたびに「父は私を醜いと言う」と繰り返し、さらに「父は私の醜さのため、奴隷として売り払おうとしている」と言った。若者は乙女を妻としてもらおうと思い、乙女の父である「イスラムの長老」の所へ結婚を申し込みに行くことにした。 イスラムの長老に会って結婚を申し込むと、イスラムの長老は延々と娘がいかに醜いかを話し続けた。若者はそれを承知で結婚したいと言ったため、法官を呼び結婚が行われたが、娘は店に来た乙女とは別人で、イスラムの長老が話した通りの醜い女であった。若者は愕然とし、長い夜を過ごして翌朝早くに家を出て、イスラム寺院に行った。 イスラム寺院に行くと、例の乙女がいたため、若者は猛然と文句言ったが、乙女は恋文の事件の復讐としてやったと言ったため、若者は非を認め、乙女にすがり付いて泣き、助けを求めた。乙女は大道芸人の一団を連れてイスラムの長老の家に行けば良いと知恵を授けたので、若者はその通りにし、大道芸人たちを親戚だと言って紹介すると、イスラムの長老は驚き、大道芸人たちと親戚になることはできないと言って、離婚するように若者に要求し、若者は醜い娘と離婚した。 若者は美しい乙女と結婚し、30日間激しく愛し合ったが、31日目には体調を崩し、愛し合うことができなかった。新妻は怒り、若者を精神病院に入れた。 帝王マハムードと総理大臣は若者の話を聞き、若者を精神病院から解放して、結婚相手の屋敷を見つけ出した。そこは先帝の三女に当たる人の住んでいる屋敷であった。帝王マハムードは2人を和解させ、一緒に住まわせ、若者を侍従に取り立てた。一同は幸せに暮らした。
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